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SE-U55GX
ONKYOが出しているいわゆるUSBオーディオ製品のうちの上位版。主な特徴は、縦置き、再生特化、最大24bit/96MHz、ACアダプター駆動、三系統のデジタル入力とアナログ入力とマイク入力を切り替えられることか。2004年の日経のPCサウンド部門で賞をとったらしい。実売価格は一万八千円程度。

私が既にUSBオーディオとしてEdirolのUA-3を持っているにも関わらず購入を決めた理由として、以下の点が挙げられる。

・デジタル入力が三系統あり、ACアダプタ駆動なのでPCにつながなくてもDACとして使える。
・24bit/96MHzの再生能力を生かしてPCでのオーバーサンプリング再生を試してみたい。
・音質がUA-3より高い(憶測)。

パッケージをあけてまず驚いたのが、軽さだった。外見の写真から察してもっと重いのかと思っていた。叩くと乾いた音が鳴るプラスチックのボディは、見た目より安っぽい感じがする。ピュアオーディオのコンポーネントが数キロから十数キロもしているので、音質には重量と密接なつながりがあるとの思い込みに私も囚われているのだろう。内部の写真をインターネットで見てみたところ、割とコンデンサーが詰まっていて音が良さそうな感じはするが、それでもズッシリというほどではない。重いのは大抵駆動部の安定性や電源の清流化に使う回路なので、この手の製品には重さはあまり必要ないようだ。

デジタル入力は自動切換えで、信号があるコネクタから優先度順に切り替わるらしい。ミキシングの機能はないので三者択一だ。PCにつながないで駆動させるのはまだ試していないが、スペック上可能だと書いてあるのだから出来るのだろう。

UA-3との比較をしてみた。UA-3は16bit/48MHzの完全に一世代前に属する製品なので、スペック上の比較をすると完全に負ける。しかし同じ16bit/48MHzのwavファイル(PCM)を再生させた上での比較なら平等だ。結論からいうと、SE-U55GXのほうが明らかに音質が良かった。marantzのPM-15S1というピュアオーディオ用の十万円以上するアンプにつなぎ、スピーカーは安易にそのまま BOSE 125 を使って、ジャズ風の音源で試してみた。UA-3ではブラス楽器などのツヤが感じられなかった。

CDプレイヤーのpioneer PD-HL5 との比較もしてみた。BOSE 125ではほとんど違いは感じられなかったので、B&W CDM1NTに切り替えて比べてみた。PD-HL5はレガートリンクという同社のオーバーサンプリング技術が使われており、その分アコースティックな音源が豊かに鳴ってわずかに差が出るが、高周波成分を多く含んだロック系の音源で多少不自然さが出るような気がしていた。SE-U55GXはそのあたりの特性が心なしか多少フラットで、音源に含まれている乾いたシンバルがPD-HL5よりもよく出ていた。

まだ気になったので、今度は某エロ歌姫の曲を掛けて比較してみた。すると、どうもPD-HL5のほうがわずかに音の広がりを感じる気がする。はっきりと違いを感じるほどではないし、アナログケーブルの長い引き回しという不利な条件もある。もともとPD-HL5は、独自のオーバーサンプリング技術が好みに合えばという条件のもとで、音源によっては中級機に迫る音質が出るという特殊なCDプレイヤーと考えたほうがいい。サンプル数が1しかないので安易に結論づけてはいけないが、SE-U55GXは五年前の実売五万円程度のCDプレイヤーと同じくらいのDAC機能を持っていると言えるのではないだろうか。

残念な点についても書いておく。この製品にはリモコンがついてくる。まずリモコン自体必要なかったのではないかという根本的な点についてはあまり触れないとしても、リモコン制御のためのソフトウェアがやたらとCPUの負荷が高い。普通なら二時間もあれば終わるDivXエンコードが、SE-U55GXのソフトを入れたことで八時間ほど掛かるようになってしまった。一応リモコン制御のためのソフトウェアのプロセスを手で殺してしまえば解決できるのだが、釈然としない。それと、蒸し返してしまうがやっぱりリモコンはいらない(笑)。

録音と再生が同時に出来ないというスペック上の欠点もある。通常これをやらなければならない場面はあまり考えつかない。音楽を聴いたりテレビを見ながら録音したいという状況はあるのだろうか。いまのTVキャプチャカードはカード自体に録音の機能がある。

ちょっと因果関係がわからないが、SE-U55GXに変えてから、ビデオ視聴時に時折コマ落ちすることがある。UA-3のときは一切そんなことはなかった。ONKYOが認めている915系のチップセットでの現象だろうか。チップセットのサウスブリッジと相性が悪いみたいで、USBハブを噛ませれば直ることもあるらしい。私は最初からUSBハブを介して接続していた。気が付いたらコマ落ちが無くなっていたので、別の原因かもしれない。

フロントパネルに二つもツマミがあるので、どっちかがボリュームだと思っていたが、片方がヘッドフォンの音量で、もう片方が録音レベルだった。どちらもライン出力には反映されない。さらに、USBオーディオとして使っているときに、Windowsのボリュームコントロールを使っても音量は変化しない。これらはすべて音質のためにそうなっているのであり、欠陥ではなく仕様だ。UA-3はすごく操作感のいい大きなボリュームツマミがあったが、その代わりに音質を犠牲にしていたのだろう。そこそこの以上のアンプを使わない限り目立たない程度なので実用範囲ではあったのだが、そこは製品の方向性の違いだろう。

私はこの製品をヨドバシカメラで18,900円のポイント10%で実売一万七千円程度で買ったことになる。欲しい機能と性能を手に入れたという意味ではそれなりに妥当な値段かもしれないが、二万近く払ったことにより得られた満足感の度合いという意味では微妙だった。

PCでオンボードや安いサウンドデバイスを使っている人、ミニコンポで普段音楽を聴いている人なんかは、この製品を買えばそこそこのサウンドデバイスとDAC分の価値があるので、さらにちょっといいヘッドフォンを買うと十分満足を得られると思う。

ただ、さらにいい音で楽しみたい人は、CECのDA53という八万ぐらいするDAC兼USBデバイスがあるので、そっちを選んだほうがいいだろう。
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