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黄昏の岸 暁の天 (十二国記)
古代中国をモデルに独自のファンタジー世界を舞台にした人気シリーズ・十二国記の本編の最新作。戴国で起きた反乱のさなかに行方不明となった王と麒麟を数年間命を掛けて探し続けた女将軍・李斎が、ボロボロになって慶国に助けを求めにくるところから物語は始まる。

のっけから言うが、この作品は本シリーズのファンでなければ全く楽しめない作品だと思う。あえて言うなら駄作だ。ちょっとネタバレになるが、これだけ分量がありながら、物語がほとんど進んでいない。

前回の慶国での大規模な反乱から逆に信頼できる家臣を得た慶王・陽子らが描かれるのは私を含めたファンにとって嬉しい。でもそれは外伝や短編でやればいいのだ。

本作の主題らしいものはいくつか見つかる。まず驍宗がなぜ失敗したか。本作が出る随分前から驍宗らが行方不明であるという事実が語られていた。既に作者がこの筋を決めていたというのは考えすぎだろう。要するに後付けのつじつまあわせなのではないか。

驍宗はとても優れた人物として描かれている。だから失敗があるとすればということで、二つの弱点が語られている。一つはやさしすぎることで、もう一つは自分の思い通りにことを急いで進めすぎることだ。とても納得できる素晴らしい設定であり、特に後者は前フリだけで私をソワソワさせている。しかし今のところそれが側近の口から心配の種として語られているにすぎず、真相がどうだったのかは現時点では棚上げとなっている。本作品だけだと無駄に感傷的なだけだ。

本作が出てからすでに五年以上たっている。作者は遅筆とのことで、この先いつ出るのか分からない。私が不安に思うのは、この作品がシリーズ最後の巻となってもおかしくない内容だということだ。天の理が支配するこの世界についての違和感。絶望的な状況の戴国に再び戻っていく李斎たち。作者はこの先に物語を用意する気でいるのだろうか。それとも、この世界を根幹から変えていく一大叙事詩の序章となってくれるのか。だとしても五年に一冊だと完結してくれるのか不安だ。

本作はこれまでのしがらみを一掃して必要な前フリをするためのインターミッションとして吹っ切り、次の作品では李斎たちの痛快な物語として描いてしまうのはどうだろうか。そうなるとある意味ちょっとガッカリだけどホッとする。
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