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ブレイブストーリー 映画版
家庭内不和を抱えた主人公の少年が、放棄された工事現場から異世界へと旅立ち、その世界で目的を達成すればなんでも一つだけ願いをかなえてくれることを知り、ライバルの少年を追いながら仲間たちと冒険を繰り広げる物語。

原作小説の作者は社会派ミステリー小説家(?)として知られている宮部みゆき。どうでもいいことだが最近職場の同僚に宮部みゆきについて振ってみたら、彼の中でこの人はファンタジー系の作家ということになっていた。本作のほかにも長いのを書いているみたいだし、一定の評価を得た作家が余裕こいて児童文学を書いてみたりする流れじゃなくて本当にこの分野に移ったのかも。

世にファンタジーはいくらでもあるが、この作品ならではの点は現実世界との接点がいやーな感じで存在することだろうか。主人公の少年のお父さんの台詞が妙に生々しくて、ちょwww宮部みゆきwwwwwと思った。

ライバルの少年の悲しい現実といい、こういう現実との接点なんてファンタジー小説いや物語作品自体にとっては余計なものだと私は思う。ちゃんと物語の中で分かるように作るべきなのだ。古来人々が物語を愛したのは、寓話の中に教訓なんかが込められていて、自然とそこに人間の進むべき道が示されているからだ。物語が実用書みたいだったらヘンじゃないか。

それ以前にこの話はファンタジーとしても出来が悪い。主人公が誰とも向き合っていない感じがしてならない。最初に出会うヘンなトカゲ人とか、ハイランダーの人々、後半に出てくる謎の国の皇女。彼らは割とイキイキと主人公の少年に語りかけてくるのだが、主人公の反応がなんかいまいちだ。ひょっとしてそれは、主人公にとって異世界とその住人は目的を果たすための手段ですよとの物語の趣旨上の伏線なのかもしれないが、それではあまりに寂しい描き方だと思う。なんにせよそれがこの物語の世界を魅力のないものにしている。一番致命的なのは、ヒロインらしきものが全然成り立っていないことだ。

主人公の少年は唯一、ライバルの少年に対してだけはまともに向かい合っていたように思う。目的のためなら周りなんてどうでもよく、ひたすら利己的に振舞ってこの世界での目的を果たそうとするライバル少年。そんな彼に対して、主人公の少年は自分の中の正しい行いに目覚めていく。この寓意だけはよく出来ている。

でも最後の最後のあの救済はなんだったのだろう。あんな風にしてもらっても全然救われた気がしない。それどころか安直すぎて不愉快だ。

そしてやはり一番大きいのは、この作品の内容を知った上で自分の子供を連れて一緒に見に行きたいと思う親はどれだけいるだろうか。家庭内不和が出てくる作品なんて子供に悪い影響を与えそうだ。特に父親のあの台詞は最悪。私だってもし小さい頃にこの作品に出会っていたら自分の土台がぐらついていたかもしれないと思う。いくら子供と真剣に向き合うといっても限度がある。

というわけでこの作品は大したことない人の作ったこざかしい凡作よりもひどい最悪の作品だと思う。
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