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ホカベン テレビドラマ版
新人弁護士の堂本灯が、巨大な弁護士事務所の中で細々と慈善事業を担当している部門に配属され、社会の矛盾と直面して成長していく話。主演は上戸彩。

弁護士のドラマが面白そうだったので見てみた。マンガが元になっている話は大体面白いだろうし、主演が上戸彩というのも大きい。七人の女弁護士も見てみようかと思ったがそっちはあまり面白くなさそうだったのでやめた。

暗くてびっくりした。陰鬱なチェロの旋律が重く奏でられて始まる。毎回主人公が壁にぶち当たる。一般的な常識で考えて明らかに正しい人間が法律に阻まれて不利な立場に陥ったり、自分が守っている加害者がどうしようもない人間だったりする。

弁護士って何なのか。法律とは弱者を守るためのものではないのか。そんな疑問を主人公は先輩弁護士の杉本にぶつけるが、杉本は主人公を叱る。叱るっていうか感情もこもっているから怒るが正しいか。杉本は杉本で昔は純粋だったが転向してしまいその結果不幸な事件が起きたらしいことが徐々に語られていき、それが最終話につながる。そんな感じ。

最終話は弁護士のありようについての疑問を突きつけている。正直これはちょっとおおげさだと思う。単に今で言うコンプライアンスの問題ではないだろうか。弁護士は顧客第一で弁護をするのが仕事であり、たとえ極悪人であろうと最大限努力する。その点については問題ないと私は思う。それが裁判の引き伸ばしになってもギリギリ許されると思う。オウムの例を見ると腹は立つけど。ただ、ウソをつくのは問題だと思う。よく分からないけど法廷偽証罪ってなかったっけ。いま調べてみたら偽証罪は証人だけだった。

上戸彩と北村一輝(先輩弁護士杉本役)がテレビドラマにありがちな先輩後輩の衝突を演じているところを最初に見たときは、あーワンパターンで詰まらなさそうなドラマだなと思った。やり手の女弁護士や上層部みたいなのが圧力をかけてくるところとかいかにもありがちだよなあと思って見ていたのだが、この作品にはそんな類型を吹き飛ばすほどの内容があった。

その一番の理由は、弁護士のドラマにありがちな人情物とかくどくどしい法廷劇がほとんどなく、良く言えば今までになかった視点、悪く言えばひねくれた内容となっている。

普通だったら主人公が言うように弱い立場の善人を法廷で助ける人情ドラマが繰り広げられるところだろう。それを見事に裏切った点が最高に素晴らしいと思う。

それが原因なのか、このテレビドラマは驚くほど低視聴率に終わっている。他にもいくつか理由が挙げられると思う。上戸彩という女性にあまり人気のない女優を主演させたこと、さらに一般の女性に敬遠される弁護士という社会的地位の高い職業の主人公に感情移入させようとしたこと、良い人間がほとんど出てこないこと。大体このあたりではないだろうか。主人公が孤軍奮闘する設定のため、魅力的な登場人物を多く出すことが出来ないという構造的な問題もあっただろう。

政治家はバカだ、官僚はバカだと言うが、実は国民が一番バカなんだということを公然と指摘したらマスメディアは潰れてしまう。そんなタブーに近いものをこの作品は侵してしまったのではないだろうか。

最終話とそこにいたるまでの伏線に関する脚本演出に多少不安定さが見られたものの、どの話も概して完成度が高くて毎回楽しんで見た。なぜこんなに素晴らしいドラマがここまで低視聴率なのか、それがとても残念に思う。
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