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セクシーボイスアンドロボ 2巻
セクシーボイスを名乗る女子中学生・ニコがスパイのように活躍する話。美容院にバイクで突っ込んできて整髪を頼む不振な男をめぐる話、三日で記憶がなくなる殺し屋・三日坊主の話、その三日坊主を影で操っていた者との話、など。

さえない巨躯メガネオタ・通称ロボもタイトルに冠されているが単なる脇役。

前巻もレビューしたので、変わらない点については書かない。が、読んでいて改めて作者・黒田硫黄の不思議な魅力ある画風には感心した。雑に見えるタッチだが、主人公ニコがとても魅力的に見える。書き下ろしでのホクホク顔のニコはちょっと手抜き過ぎるのではないかと思わなくもないが、逆に作者の強い意図をはっきりと読み取れる。三日坊主が裸でベッドから起きるシーンも中年男がとてもリアルに描かれている。

内容についてだが、一つ私の心に突き刺さった言葉がある。手元に本がないのでうろ覚えだが、恋愛をする人というのは自分に関心の強い人だ、といった内容の言葉だ。まあなんというか、突然脈絡もなく出される点は軽薄な感じがするのだが、良いスパイスを持っていると思う。あとは使い方だ。

帯にある、すでに地獄を選択していた、って感じの言葉とか、一人でうなぎを食べてね、というニコの強い意志のこもった言葉も、私にはなんだか空回りして見えた。多分作者の体験上では見事につながっていたのだと思うが、作品単体では浮いていると思う。ニコがそこまで三日坊主に感情移入していたのだろうか。また、他人に関心が強いというニコの特徴はとても良いと思うが、特定の一人に対してここまで感情移入するのは不自然な気がする。

ややこしい評論になってしまったが、単純に言えばこの作品はニコの魅力で成り立っており、私はニコが好きだ。だからこの作品も好きだ。まあ大好きってほどじゃないのだけど。もっと幼い一面も持っていて欲しいなと思う。
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