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ポーション頼みで生き延びます! 232話まで
すさんだOL生活を送っていた長瀬香(カオル)は、ある日いきなり謎の現象により凄惨な死を遂げる。意識だけになった彼女はそれが事故だったと高次生命体から知らされ、元に戻すことは出来ないが違う世界で新たな生活を送れるようにすると言われる。そこがあまり文明の進んだ地でないことを知らされた彼女は、若い肉体のほかに自分の望み通りにポーション(薬)を作る能力を要求する。ライトノベル。

同じ作者による「私、能力は平均値でって言ったよね!」「老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます」がとても面白かったので、続けてこの作品も読んでみた。面白かった。

異世界へ行く前に家族や親友との別れのシーンがあってちょっと長くてうんざりした。この作品の主人公カオルは作中ときどきかつての会社や上司の愚痴をこぼすけれど、それ以外は特に普通に生活を送っていた。家族や親友との別れも普通に感動的なシーンとして描かれており、この世への未練を断ち切って新たな生活に乗り出す踏ん切りが描かれている。

異世界へ転生してからは苦難の連続となる。作ったポーションを売って小銭を稼ぎながら細々と暮らしていくはずが、欲深い貴族に目を付けられて拘束されてしまう。もちろんその危機からは抜け出すのだけど、思っていた以上にすごい能力だったので人々から女神の使いだとあがめられてしまう。

カオルの一番の特徴は目つきが悪いこと…じゃなくて社会人経験があることだろうか。現代の知識を生かして勤務先の食堂で昼下がりに小遣い稼ぎでコンサルティング業みたいなことを始め、それが縁で商人や貴族と縁が出来る。しかしあくまで彼女は自立して生きることを目指していて、有力者に保護されて生きることは望まないのだった。自分はこの姿勢にそこまで惹かれなかったけれど、ひょっとしたらこういうところが好きだという人は多いのかもしれない。

そういえばカオルの最終目的(?)は結婚して一族を繁栄させることだった。いまのところまだ婚活中(笑)。そりゃ彼女の能力を知る人々からは求婚されたりもするのだけど、そういう打算では結婚したくなくて自然に相手と出会いたいと思っている。序盤で女神と勘違いされたカオルが人助けの理由付けのために一人一人に不幸だった話をするよう言う場面があって、誰それが死んだとかいう話をありきたりだと受け流したあとで、行き遅れの女騎士のなにげない独白を聞いて涙をボロボロ流すのがウケた。

FUNA三部作(と勝手に呼んでいる)の中では正直この作品は一歩劣るかなと自分は思っているのだけど、その一番の理由はポーションを作る能力の中に好きなように入れ物を作ることが出来るというおまけがついていて、その力を利用して事実上なんでも作ることが出来てしまうことだろうか。単分子を高速に振動させることによりどんなものでも豆腐のように切ることが出来る剣すら(ポーションの容器として)作れてしまう。彼女が本気を出せばなんでもできてしまうので話の面白みが減っていると思う。

話がヘンに大きくて、その割にそれほど面白くなかった。戦争に参加して無双したり、疫病の流行を抑えるために自ら女神の使いを名乗ったりと、スローライフを送りたいはずのカオルはたびたび不本意に(?)注目を浴びては逃げることを繰り返す。中二病にウケそうな分かりやすいストーリーだと思うんだけど。

身勝手な王子をひたすら拒絶しつづけるというのもおそらくこの作品の人気の理由だと思う。王子からすれば決して悪意があるわけではないのだけど、自分に求愛されたら断る女なんていないだろうという生まれながらの傲慢さに対してカオルはあくまで厳しく対応する。ほかにもナメた相手にはきっちりと落とし前をつけさせるのが気持ちいい。

唐突に第二部が始まる。第一部の登場人物とは断絶してしまう。第二部が始まったときはそれはそれでどうなったか知りたくてちょっとワクワクしたけれど、親友が新たに二人転生してきてまた一から始めることになり、第一部とは基本的にまったく関係ない話が始まったので拍子抜けした。それでも面白いから読んじゃうんだけど。

たぶんこの作品は女性向けなんだろうな。安易に男にモテたいわけじゃく、仕事が出来るのに自分を女としてしか見ないような男を痛快にやり込めるという、自立した女性の欲求を代わりに満たしてくれるような作品なのだと思う(言い方!)。もちろん男の自分にとっても気持ちよく読むことが出来たので、こんなヒロインが嫌いでなければ読むといいと思う。
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