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フランス7つの謎
作者がフランスに滞在中に疑問に思った大きく七つの謎について調査し読者に語りかける本。

私はこの手の本が好きなほうなので、題名を見てすぐにレジに持っていってしまったのだが、この本は中身が薄い本でちょっとガッカリした。まず字が大きい。

作者が余裕をこきすぎ。自分のこれまでの幾多の経験と研究の中から、絞り込んだ上で読者に提供しているという姿勢が露骨すぎる。そんなに紙面を気にするのだったら、もっと原稿の量を書いて字を小さくして詰め込んでくれと言いたい。それと作者の、自分も完全に分かったわけじゃないので読者のみなさんに問いかけよう、という結びが目につくのだが、それ自体は謙虚な姿勢なのにますます余裕ぶっこきすぎだという印象が強くなっている。

もうとにかく感じの悪い本で、温和な文面なのに読んでいるとムカムカしてくる。少なくとも三割ほどは読み手の問題だと認めた上で、ここは強く作者にこう言いたい。なんでもいいから自分が打ち込んでいる一つ以上のテーマについてもっと熱く語ってくれと。多少読みにくくて論理に錯綜があっても、そのほうが読者は満足なのではないだろうか。

と、いきなり批判で始めたが、内容自体はそれなりである。昨今もてはやされているトリビア(雑学)と違い、歴史や文化的背景などの教養に根付いた説明に、心地よい知的な快感が得られる。むかつきはしたが、余裕を持って語れるほどの知識がないと書けない文章だろう。アンシャン・レジーム(旧体制)だなんて、教科書で読んだときは何の言葉遊びかと思ったが、現代フランスの謎を説明する文脈の中で使ってくれるだけで教養が身についた気になる。

ほかに、なぜマクドナルド建設現場を荒らして賛否が拮抗するのか、なぜ働いてもいない大学生がストライキをするのか、なぜアメリカに対して複雑な感情を持っているのか、なぜ政教分離をめぐって延々争われるのか、などがある。

この本は400円なら人に勧められるかも。
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