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人間不信の冒険者たちが世界を救うようです コミカライズ版
小さい頃から自分の面倒を見てくれていた男からちょっとした行き違いにより見捨てられ、一緒にやっていたパーティも追い出された若き戦士ニックは、その上さらに恋人だと思っていた女からも裏切られ、酒場で愚痴をコボしていたところを似たような境遇の三人と意気投合してパーティを組むことになる。ファンタジーマンガ。

2023年にアニメ化されたのを見て、人間不信に陥っていた彼らが自分たちなりの取り決めをして恐る恐る一緒にやっていくというストーリーがいいなと思って最後まで見終えた。一方でファンタジー世界なのにアイドルがいたり、ギルドでの紛争解決手段として算術格闘バトルなんていう妙な方法があったり、極めつけとして古代のアイテムの力により二人が合体して変身するというファンタジーらしからぬ設定に混乱した。マンガだったらもうちょっとなにか情報があるんじゃないかと思って読んでみた。大体そのままだった。

若き戦士ニックのもとに集まるのは、パーティで使い捨てにされた竜人族の女戦士カラン、優秀すぎてあまり人のことが見えていなかったギャンブル狂の女魔術師ティアーナ、容姿端麗で品行方正なのに女性から罪を着せられ転落し初めて女を抱いてハマった元神官ゼム。マンガみたいに酒場でそれぞれ爆発して意気投合する。マンガなんだけど。

彼らはなんとなくその場の勢いで一緒にパーティを組んでやっていくことになったものの、まだ互いに信じられずびくびくしていた。そんな中で、実質リーダーとなったニックはみんなに呼びかけ、仮に誰かが裏切っても損害を最小限に抑えられるルールを決め、みんなの自由を尊重しつつ少しずつ信頼しあえるよう行動することを提案する。

なんかこういう展開自体は好きなんだけど、これをファンタジーでやるかなあと思った。これは自分の憶測なんだけど、ファンタジーものにしたほうが読者が付きやすいからそうしたのであって、作者は別にファンタジーを描きたかったわけじゃなかったような気がする。この作品はあまりに現代的な要素が多い。自分は時代劇に現代的な要素とか悩みとかが入るのが大嫌いであまり読まないようにしているぐらいなので、こういうファンタジーは基本読みたくなかった。

ファンタジー世界に吟遊詩人だけどアイドルがいる設定ってどうなんだろう。主人公の若者ニックは自分の境遇に落ち込み、アイドルの女の子を見て励まされるようになる。それだけならまだいいんだけど、オフの場でそのアイドルと時々偶然会ってファンとして交流する。アイドル本人と直接交流して舞い上がるニック。うーん、いやだなあ。

いま思ったのは、アイドルの存在はレコード会社が一枚噛むのに都合よかったからこの作品がアニメ化の対象に選ばれた一助になったのかなということだった。

それでも見続けたのは、この作品のテーマが魅力的だったからというよりは、キャラが魅力的だったからだった。特に竜人族の女戦士カランがカタコトでかわいかった。田舎から出てきた世間知らずの女が騙され、それでも仲間を信じたいという自分の弱い気持ちを捨てきれずにいたところを、ニックとのふれあいにより吹っ切れていく。

女魔術師ティアーナは過去の失敗エピソードがなんだかテンプレすぎて入ってこなかったんだけど、ギャンブル狂いで一本通っているところや、脅されても意志を貫こうとするところがよかった。こいつの勝気な顔が好き。

キャバクラ狂いの神官ゼムは描写が少なくて消化不良だった。ファンタジー世界にキャバクラって…。原作小説はまだ続くみたいなんだけど、マンガとアニメではカランとティアーナとは合体してもゼムとの合体シーンはないまま終わってしまった。

彼らのパーティに「キズナの剣」というロストアイテムのインテリジェンスソード(しゃべる剣)が加わり、こいつがショタ(少年)に変身して行動を共にすることになる。人間じゃない存在から人間を見つめる視点がある。

このキズナの剣は、互いに信頼し合った二人が合言葉を唱えると合体して強くなれるという古代文明の謎技術を持っている。このしくみにより、心を通わせるために互いに素直な気持ちを打ち明け合うという薄ら寒い場面が繰り広げられる。自分は虚無の心で読んだ。

なんでこんなに入っていけないのかちょっと考えてみたんだけど、キャラの掘り下げを駆け足の回想シーンに頼り切っているからなんじゃないかと思った。もっと現在進行形でパーティのメンバー同士に行き違いが起きる描写があればよかったんじゃないだろうか。前に出ようと思うも出れないだとか、支援攻撃をためらうみたいな戦闘中でのやりとりはあったけど、たぶんそれだけだったと思う。

敵対した獣人レオンの物語も描かれる。こいつにはこいつなりの不幸があったという話だった。王道の少年マンガによくあるやつw まあ少なくともファンタジーものよりは王道バトルものだったほうがすんなり入っていけた気がする。

そんなわけで題のとおり人と人とが互いに信じあえるようになっていく物語を気軽にファンタジーものとして読みたい人で、登場人物の心情を自分の中でおぎなって楽しめる自信があるなら読んでみるといいと思う。
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