茄子 (1巻) |
茄子をアクセサリー(?)にした、各話各話が独立した作品集。2002年3月5日現在もアフタヌーンだかに連載中らしい。
作者の黒田硫黄は男らしい。「大王」の巻末の書き下ろしで女として描かれていたので私は完全に勘違いしていた。悪ふざけが過ぎる。
やけにオヤジがリアルだと思った。女性の作家でここまでインテリオヤジをねちっこく描けるのなら大したものだと思っていた。なあんだ。よく読むと、少女の描かれかたもどこか男性作家っぽい描き方だからねえ。油断しなければ男の作家だとわかったはずなのだが…。
私が印象に残っている作品=主な作品、ということで紹介すると、まずさきほど述べたインテリオヤジ、郊外で農業を営んでいて、茄子も作っている。そこへよくわからない男女の若者がやってきて泊り込む話。別の回ではキャリアウーマンっぽい元奥さんも泊まりに来る。
学校の菜園で茄子を作っていて、少女がやってきて、主人公の少年の手から茄子をもらって帰る話。少年はそれ以来その少女が気になって、また茄子を作っていつか再会する日を心待ちにする話。
そしてオビにある、宮崎駿激励の作品、アンダルシアの夏、これはヨーロッパで自転車と女性を中心にした兄弟の関係を、自転車レースと結婚式を中心に描いた作品。この単行本の中では、物語の世界に一番ひたらせてくれる。が、おいてけぼりを食うとシラケるかもしれない。
黒田硫黄の作品は、割と唐突に終わる印象が強い。それでも成り立っているのは、各作品の持つ雰囲気がとても強いからだろう。
これは面白い! というような作品集ではない。味わいで十分なら読んでみるとよい。
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