死霊のえじき |
ゾンビ映画のオーソリティたる「ゾンビ」の監督が送る、
実質上、続編たる地位を気付いている名作中の名作。
こちらも本家ゾンビの語り口を踏襲していて、
冒頭からゾンビうじゃうじゃの悲惨な現実からはじまる。
本作の部隊は、軍の基地。
主人公は軍の科学者。生存者は軍人が数名と科学者が数名。
押し寄せるゾンビの脅威の前に、強硬論を唱える軍人と、
慎重にコトをすすめようとする科学者たちの衝突が起こる。
科学者たちは、とても冷静だ。
基地内のゾンビを始末する際には、始末したゾンビの数をカウントしようとする。
基地内の構成員の人数と照らし合わせて、ゾンビの絶対数を把握しようとする。
一方、軍人達はハイテンションで、ゾンビを皆殺しにしてやるぜっていう雰囲気。
両者は対立しつつもなんとか協力関係を保っていた。
だが、そのバランスを壊す人物が科学者サイドにいたのだった。
科学者達の長で、マッドサイエンティスト寸前なまでに知識欲の塊のような人物。
ゾンビを解剖したり、ゾンビを鎖に繋いで飼ってみたり、様々な実験をしていた。
そして、現状を打開するには程遠いような、ちっぽけな研究成果に大喜びしていた。
最終的な目標はゾンビを無害に飼いならすということだが、科学の道はとても地道で、
ゾンビにヘッドホンステレオで音楽を聞かせたり、電話などの小道具を与えたり。
様々な実験を繰り返してゆくと、ゾンビには生前の記憶があることを発見する。
電話機を与えると受話器を耳に当てたり、元軍人のゾンビに対して敬礼をしたら敬礼が返ってくるなど・・・。
だが、ゾンビが人間を襲い喰らうものには変わりはなく、
また、無数のゾンビがうじゃうじゃいる現実では、なんら効果をもたない研究結果だ。
学者バカむき出しの彼と、軍人が衝突するのは時間の問題だった。
ゾンビ映画の真骨頂は、人間模様だ。
ゾンビとは、脅威ではあるのだが、人間は人間という脅威の前に身を滅ぼす。
悪意の塊のような邪悪で強大な敵でなく、ただ、人を喰らうだけ無数の存在が
人間たちの社会を内側から破壊してゆく。。
前作「ゾンビ」の後継作としてふさわしい。
ゾンビという存在に対する深い追求と、人間模様の描写に力を入れた作品だ。
あと、この映画をみると、
なんかドリフで似たようなシーンをみたことがあると感じるはず!!
ドリフの全員集合では、色んなもののパロディをやっていたが、
ホラー関連では、この死霊のえじきがつよい影響を与えていたことがわかるはず。
この映画がいかに時代を掴んでいたかという証明だ。 |
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