ゴッドファーザー |
マフィア同士の抗争を、親分によるファミリーの統制という側面から描いた映画。
既に名作として語りつくされている作品にあえて何か言う意味は私にはないのだけど、一つの作品として気楽にレビューしたい。
まず冒頭、親分がどのように人々を味方につけるのかが描かれる。親分は街の人々の世話人であり、何かあったときに友として助ける代わりに、親分に何かあったときに協力することを求める。マフィアという特別な世界だけじゃなく、色々な形で人間社会にこういう絆があると思う。人間なにかしらの輪に入っていないと人生損をして過ごすことになるんだろうな、と妙に悲しくなった。だがそんな私もちょっとした輪になら入っている。こういうところで深く考えさせられた。
この作品で最初に描かれる親分は、争いを好まずなるべく政治力で解決しようとする。マフィアの親分のイメージ通りだ。そのイメージというのは多分この映画自体の影響力が色々な作品に及んでいるからだろう。多分もしこの作品を新作だと聞かされて見せられたら、物語としてはなんか平凡で中身のない作品だなとひょっとしたら思ってしまったかもしれない。
序盤、画面に現れるマフィアの構成員の数が少ないように感じられ、本当にこれが暗黒街を支配する組織なのかと疑ってしまった。
ソロッツォが西川きよしにそっくりで目が離せなかった。マイケルはアル・パチーノという有名な俳優が演じているそうなのだが、板尾創路と柴田恭平を混ぜたような顔をしてヘンな違和感があった。マーロン・ブランドのしわがれ声は最初不安感があった。観ているうちに慣れた。
マイケルは大学出の末っ子で、親分がマイケルのことを気に掛けていたのが印象的だった。ファミリーは今後は表に出て影響力を持つほうがいいと言っていたのも興味深かった。マフィアという特別な世界を描くことで世の中の成り立ちについて考えさせられるところが、名作という評価に相応しい出来だと思った。
血気盛んな長男ソニーや気弱なフレドなど、脇役に至るまで行き届いており、作品の完成度はとても高いと思う。大学出のマイケルが、本当はファミリーの仕事とは無縁でいたのに、あるきっかけで初めての仕事をする場面が緊張感にあふれていて良かった。
この作品を見ておかなければ絶対損、とまでは思わないし、この作品で語られることは他の作品からでも十分に受け取れるのだが、やはりこの作品単品の出来は良く、当然のことながら王道を行っていて一番中身が詰まっているので、優れた作品とはどんなものかというのを感じるには良いと思う。
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