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蜜×蜜ドロップス 1巻だけ
いいところの坊ちゃん嬢ちゃんが通う学園の中にさらに一握りの本当の上流階級の一族の子弟が通うコースがあり、そこにはHONEY制度といって一般生徒から選ばれて世話役をする仕組みがあった。あるきっかけで主人公の少女は暴力的な男に目をつけられ、学費無料などのエサと有無を言わさぬ状況に縛られてHONEYになることになり、ひねくれた男から日々強烈なアプローチを受けることになる。

週刊文春のいまどきの少女漫画はHでヤバいぞ特集の中で、学園もの+調教ものという扱いを受けていた作品がこれ。記事の中で一番気になったので真っ先に探して手に入れて読んでみた。

うーんこれは神尾葉子「花より男子」にかなり似ている。常識人のヒロインが暴力的な金持ち男に惚れられ、やさしい金持ち男に助けられて惚れちゃうところなんか、まさに道明寺と類を彷彿させられる。

違うのは、ヒロインが牧野つくしほど強くなくて、暴力的な金持ち男になんだかんだでやられっぱなしなこと。そしてそれがこの作品のウリなんだと思う。社会的にも肉体的にもかなわない男に迫られ、なすすべもなく犯され(一巻だとパンツの中に手を突っ込まれていじられるところまで)、それを社会的にも肉体的にもそして精神的にも拒めなくなっていることを感じてイヤがりつつも複雑な気持ちを抱くヒロインが魅力的だ。

最近私は精神分析学系の愛読書を再読したばかりで、その著者の岸田秀も言っているのだが、人間の男というのは恥じている女に特に燃えるのだそうだ。自らの不能への恐怖がどうのとかそういう細かい理屈はここでは説明しない。なんか感覚的に怪しいし。

先日読んだオタク系のマンガのヒロインもそういう恥じらいが強く描かれていたのだが、私はこっちのヒロインに全然魅力を感じなかった。二つの作品にどういう違いがあるのか考えてみると、あっちのオタク系よりこっちの少女漫画のほうがヒロインがずっと常識人で、普段の生活と羞恥な状況との落差があるからだと思う。

という男目線の説明は置いておいて、問題はこの作品が少女漫画で、つまり女の子とくに小中学生に支持(?)されていることである。これをどう説明づければいいのだろうか。女のほうもこういう風に自分は何もせず男に勝手に迫られるようなある意味楽な恋愛を求めているということなのだろうか。というか現実が既にそういう男頼みな女ばかりなのでそれをうまく取り入れているということなのだろう。

と今回はやたら分析的なことを書いてしまったので、作品の内容に戻ることにする。上のような状況でどのようにストーリーが進んでいくのかというと、ヒロインと男とのあぶない関係が、学園のイベントなどでどんどん進んでいくという形になるのだろう。

一巻では早速HONEYとのペア対抗のバスケ対決が始まり、最下位ペアのHONEYが解消されるという安易な展開にやや辟易しつつも、ヒロインや男の心情が意外に丁寧に描かれているため、この先の展開をやや期待させてくれる。

だがこの作品の多くが色んなものの焼きなおしのように感じられて、果たしてこの作品の続きを読む意味があるのかと考えてしまう。言い換えると、多分この作品は私の想像の範囲の中で展開して終わってしまうんじゃないかと思う。男が上流階級の孤独とかひねくれたところを持っていて、それをヒロインがなんだかんだで包んでいくんだろうな。

ヒロインが今度はどんな風に強引に男にやられちゃうのかは素直に楽しみなのだが、本当にそれだけなのでまた気が向いたときに続きを読むことにした。

最後に思い出したが、題名は多分作中で口移しにするアメから取っているのだと思う。
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