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低年齢層向けの少女マンガ雑誌にエロを持ち込んだはしりとなった(?)新條まゆが、原稿紛失で小学館を訴訟中の雷句誠の事件に寄せて、自身の小学館との決別の内実と仕事やコミュニケーションのありかたや業界の未来について語ったブログ記事。

2ちゃんねるのまとめサイトの一つ「ニュー速クオリティ」でこのブログ記事についてのスレッドのまとめが載っていたので読んで衝撃を受けた。

編集部の希望通りに働いて、ついには平均睡眠時間が三時間を割り、月産120ページも書いていた作者が、ひとたび「こういう話はもう描きたくない。この連載は違う方向で描いて行きたい」と言った途端に、これまでの13年間の関係をあっさり切られてよその雑誌に行けと言われたという。しかもその行き先の雑誌もこれまでと同じ作風を求められる方向性の雑誌だったらしい。

小学館を離れようと決心して伝えたら、いままでの出版物を絶版にすると脅される。頭を冷やせと強制的に一回休載させられたが、本人のワガママで休んだことになっている。挙句今度は社を挙げて慰留されるが、希望を言ったら役員(?)から叱責される。独立して他社の仕事をするようになって初めて小学館のひどさを知ったという。

あとは、ひどいことも言われたけど自分のために動いてくれた編集者のこととか、逆に外からはエース級だと評判だったが自分にとっては最悪の相性だった編集者のことを例にして、相性の問題とかコミュニケーションが大切だとか信頼関係の重要さなんかも語っている。

話がどこまで本当か分からないけど、漫画家を囲い込む出版社の話はよく知られているし、事実としてこの人が独立して仕事をしているのは確かだし、記事の端々からリアリティを感じる。なにより利害関係から考えてこれがまるっきりのウソということはまずありえない。

正直なところこの人の作品を私は面白いとは思わないし(全部読んだわけじゃないけど)、自分で言っているように編集部の指示に従って描いていたとは言え低年齢層向けの少女マンガに少年誌よりもえげつないエロを持ち込んで流れを作った一人であるわけだし、非人間的な生活を送っていたとはいえ一時期は年収二億円を稼いでいたとも言われるぐらいだから、一方的な被害者とは言えないと思う。

にしても、とても過激なことを書いている割に筆致が落ち着いていて大人だなと思った。この冷静さは普通はなかなか出せないと思う。いまは落ち着いているからだろうけど、当時のことを思い起こせば感情的にならざるをえないんじゃないかと思うのだが、それに作家としてもっと劇的に描写しようと思えばできたと思うのだが、それをせずに事実関係を淡々と語り、正直な思いをやや不器用気味に打ち明けているところに好感が持てる。

社会の流れから言えば、これも内部告発の一種なんだろうな。この人の場合は力があるからできたんだろうけど。いまがんばっている若い人のためにもとか業界のためと言っているところにジンとくる。最後にこんな内容の文章を書いたことをファンに詫びているところもかっこいいなあ。
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