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涼宮ハルヒの憂鬱(の評論)

2007年にアニメ作品として放映されてヒットした涼宮ハルヒの憂鬱シリーズを、三人による座談会で批評した文章。

大体の流れとして涼宮ハルヒの憂鬱シリーズのことを、まともな青春を送りたくても送れなくて自分に言い訳しているオタクへのエサのような作品だと言っている。全体を通じてオタクの都合のいい妄想を厳しく批判しつつ、こうやってオタクから支持を得たのだと言って作者を持ち上げている。正直非常に気持ち悪い文章である。

なぜこうも気持ち悪いのかというと、彼らが自分たちの過去を憎んでいるからだろう。特に話をリードしている「善良な市民」という人は、自分が男子校出身で「まともな青春」を送れなくて現実逃避していた過去を語っている。ここまであけすけに語っているところは良いと思うのだが、やはり過去の自分の欠点(と考えるところのもの)を他人の中に見つけたときほど憎みたくなるものであろう。こういうのを見るとイライラしてくる。いまの自分を安定させたいから他人を攻撃せずにはいられないのだろうなと。そういう私自身も同じ論理で彼らを憎みたくなる。

この人たちはオタク文化を語って研究しているのに、なぜこうもオタクに対して痛烈な批判をし、いわゆる一般人とかリア充(現実生活が充実している人の意味の2ちゃんねる語)のことを持ち上げるのだろう。その点2ちゃんねるの方は進んでいて、そういう人たちのことを「スイーツ(笑)」とかDQN(もともとは目撃ドキュンという番組に出てきた不幸な生い立ちから一生懸命まともな生活を送ろうとするけどちょっとヘンな人たちのことを指しているが最近では非オタクの頭からっぽ系の人たちのことも指すようになった)と言って批判的な面でも捕らえるようになっている。

そんな彼らが到達点とするのは「ハチミツとクローバー」とか「リンダリンダリンダ」という作品らしい。曰く、オタクはプライドが邪魔してこれらの作品を読めないらしい。

涼宮ハルヒの憂鬱シリーズの都合の良さについての分析はある程度当たっているとは思う。読者をキョンに感情移入させておいて、キョンは立ち位置的に傍観者で安全な場所にいて、ハルヒという揺らいだ存在を生暖かく見守っているだけ。それは確かにそうだと思う。キョンは夢見がちな女の子を現実回帰させようとする。しかし逆の向きもある。キョンは最初の独白から見ても明らかなように特撮ヒーローものだとかの夢をあきらめていたし、「まともな青春」というか日常志向に転換済みである。そこへ空想願望のあるハルヒという女が出てきて刺激される。つまりこの作品のテーマは「もう一度夢を見ようよ」でもあるのだ。こういう両面性とか二義性がこの作品をヒットさせた理由だと私は思う。

自分たちの世界観に作品を押し込めて語っているところに腹立ちを覚える。曰く、ビューティフルドリーマー(うる星やつら)、エヴァンゲリオン、ときた流れの先にこの作品はあるらしい。主人公が現実逃避する作品(ビューティフルドリーマー)から、主人公が現実と向き合って拒絶される作品(エヴァンゲリオン)へ、そして主人公が現実と向き合って妥協する作品(涼宮ハルヒの憂鬱)へと進化あるいは退行しているとのことだ。

この人たちが考えるこの手の作品の最終到達点とは一体どこなのだろう。ものすごいしけた現実を見つめる作品なんじゃないだろうか。そんな作品の一体どこが面白いというのだろう。結局、自分たちの現実と比べて安心したいだけなんじゃないだろうか。だからこそキョンのような、現実路線に方向転換したはずがハルヒによって「もう一度夢を見ようよ」みたいなところを刺激されると居たたまれなくなるんじゃないかと思う。

何のためにフィクションを読んでいるのかもう一度考え直すところから始めたほうがいい。

結びの言葉がこの文章のすべてをあらわしていて気持ち悪いのでそのまま引用する。

*

●善良な市民
こういう作品って難しいんですよね。まあ、「素直になるためのリハビリ作品」として機能すればいいんじゃないのって思うけど、逆に「これはリハビリ作として僕らには必要なんだから否定できない」とかまた言い訳して(笑)永遠に「終わらない夏休み」に引きこもるってパターンも多いですから。甘やかしたくなる気持ちはわかるけど、それはできないなあ。
夏休みは終わるから楽しいんだってことは、ちゃんと理解しておいたほうがいいですよね。その方が絶対楽しいし、お得です。
あとは、そうですね。今からでも遅くないんで、他人のこと僻んでばかりいないで青春しましょう!
結局、いじけていて損するのは自分ですからね。
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