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ホームレス中学生
何不自由なく普通に暮らしていた少年が、母親の病死と、父親のリストラにより、中学生にして家族解散の憂き目に遭って近所の公園で暮らしたり、近所の人々の助けで立ち直ってから、家族のありがたさをかみしめる物語。

吉本興業所属の芸人、麒麟というコンビの田村裕の自伝的小説が原作。200万部以上を売り上げたらしい。原作は私も手にとって最初の数十ページを立ち読みして面白かったが、単行本は割高だしあんまり内容がなさそうだったので結局買わなかった。

なにがイイって、まだ中学生なのにいきなり家族が離散するところが面白い。本人たちにとってはすごく真剣なことだったのだろうけど。なにせ父親が突然、家族解散宣言をするのだ。以降、三人兄弟の末っ子だった田村裕は、兄と姉に配慮して心配かけまいと、友人のところに身を寄せるとウソをついて公園で寝泊りするようになる。

このテレビドラマ版にはなかったが、違うところで生活していた兄や姉とは近所でたまに会ったりすることもあったそうだ。兄はともかく姉まで放浪の生活を送っていたというのにはちょっとエロスを感じるが、あいにくドラマ版では風俗のスカウトにしつこくされる以外の描写はなかった。姉役の女優が夏帆とかいうアイドルらしいのだけど、物語的にギリギリ許される微妙なかわいさがあってよかった。

で結局親切な友人とその母親に色々してもらってホームレス生活は終わる。ここまででまだ話は全体の半分に行っていない。そこからは、学校の先生とのつながりや、兄の人知れない努力、在りし日の母親を回顧するなどで話が進んでいく。後半は家族愛とかでまとめてあってそれはそれでいいと思うのだけど、私にとってはあまり興味の持てない話だった。結構当たり前の王道的な話だし。これといって視点が優れているわけでもなかった。っていうか女教師のエピソードは出来が悪くて腹が立った。

前半のホームレスの頃の生活もそんなに期待するほど面白くはなかった。内藤剛志が演じる父親を始めとしたチョイ役気味の俳優人の演技はどれも自然でいい味が出ていたのだけど、主人公の田村少年や近所の少年たちの無駄な脚本と過剰な演出に辟易した。兄や姉は悪くなかった。よく分からないけど脚本の人は喜劇があまり得意じゃないのかも。

総じてみるとちょっと長すぎて時間を無駄にしたように思う。
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