Я |
ちょっとシャレたものに Я というちょうど R を鏡で左右反転させた文字が使われていることがある。だがこれはもともとは R ではなく、英語で綴ると Ya にあたるロシア語などの文字なのである。
ロシア語などで使われるこのような文字のことをキリル文字と言う。近代まで文字のなかったモンゴルでも使われているほか、ウクライナとかチェコなんかのロシア語系の言語でも使われている。
諸説あるらしいが、アルファベットを輸入するときにまちがって左右が反転してしまった、というまぬけな理由が確かもっとも有力な説だった気がする。
ほかにも変なことになっている。たとえば、
Я студент.
これは英語で言うと、
I am a student.
にあたる文である。そう、Я はちょうど I になる。そして驚くべきことに、студент と student は完全に対応するのだ。ただし、ロシア語には s がないので、c も s も с になってしまう。それから、u が у に、n が н に変わっている。ya yu yo がそれぞれ я ю ё になる。などなど。あの有名なミステリー小説「オリエント急行殺人事件」のトリックにも使われていて、ハンカチに縫いこまれたイニシャルの н が実はロシア系の名前で N のつく人じゃないか、と推測するのだ。
さかさま文字はかっこいいので、思う存分使うといい。ただ、もともとどういう文字なのかを知っておいたら、話のタネになるだろうし、いざというときに恥をかかなくてすむ。
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