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Blade Monster (SiS Xabre 400 搭載)
DirectX が高度なプログラマブルな機能を実装するので、これまで二強とくに最強だった nVIDIA の寡占が崩れ、後塵を拝していたメーカーの敗者復活戦が始まると言われているが、この製品に搭載されている SiS Xabre 400 もそんな一つ。

一般に言われているのは、SiS Xabre 400 は nVIDIA GeForce4MX 440 や ATi RADEON 7500 クラスらしい。

私は 3D の激しいゲームをやったりしないので、なぜこんな最新のカードを買ったのかというと、単にこれまで使っていた GeForce2MX 初代のカードのチップクーラーが壊れて取っ払ったので、廃熱が悪くなって長時間使っていると火事になったりしないか不安だったため。というか実は本当の理由は、お買い得っぽいカードだなと思ったこと、それに VGA を一枚余らせるとちょうどもう一台マシンが組めるから。

それでついついショップで目にとまった JOYTECH とかいう怪しいメーカーの製品を買ってしまった。おまけに、VRAM は 64MB もあれば十分なのに、128MB も搭載した上級モデルを買ってしまった。かつて ATi RAGE IIc なんていう 3D がてんでダメなカードで、4MB もあれば十分なのに 8MB も VRAM を積んだ二千円も高いカードを選んでしまった失敗をまたやってしまった。今回もやはり二千円高かった。まあ前回は四千円代か六千円台かという違いなので大きかったが、今回は一万円台か一万二千円台かという違いなのでそう大したことはない。

さっそく取り付けてみた。いきなり DVI 接続を試してみた。起動。…やばい。明らかに BIOS の画面がおかしい。画面一杯に表示されず、小さい画面が縦に二つ三つ並んでいる。おいおい。初期不良か? 様子を見てみると、Windows が立ち上がると何事も問題がないようだ。低い解像度だとおかしくなるのかと思って、Windows のデスクトップを 640x480 にしてみたが、何の異常もない。BIOS 画面だけ独特の周波数だからなのだろうか。

そこでもう一台ある DVI 接続可能なモニタで調べてみたら、こっちはちゃんと表示される。おかしい。まあ DVI という規格自体が実は結構いいかげんだというし、これでは初期不良だと言い張っても聞き入れてくれそうにない。BIOS 画面だってまるっきり表示されないわけではないので、実用上さして問題はない。…七万円台のモニタを異常な信号で破壊されはしないかと不安になったが、もう片方のモニタでは全く問題が出ていないので大丈夫だろう。

こんなとき、JOYTECH などというマイナーメーカーの製品を選んだことを一番後悔する。前回 Leadtek なんていういまでは有名なメーカーの製品を選んで失敗気味だったので、リファレンスドライバさえ入れればメジャーもマイナーもないだろうと思って今回はマイナーメーカーを選んだけど、やっぱり失敗気味だ。

WinDVD が付属していると箱にマーキングされていたので、ドライバCD に入っている WinDVD を入れようとしたが、なんとシリアル番号がついてきていない。おいおい。いったいどういうことだ。しかもバージョンがかなり古い。つい先月先々月発売された製品でそれはないだろう。ただ入っているだけか? おまけに、うちには DVD-ROM ドライブについてきたものなどいくつか OEM版の WinDVD があるので、そいつについてきたシリアルを入力してインストールしてみるも、TV-Out のついているこのビデオカードでは、コピーガードがしっかり働いていて、TV-Out に出力していないにも関わらず一切再生ができない。まあ本来、ドライバレベルで TV-Out をサポートしていたらハネられてしまうものみたいなので、自然と言えば自然だ。しかし、直前まで使っていた Leadtek のカードには、TV-Out がついていてもちゃんと動作する独自の WinFastDVD がついてきており、ちゃんと再生できたことを考えると、この JOYTECH 製カードはダメだ。

ちなみにその WinFastDVD をインストールしたまま VGA を交換してこの JOYTECH Blade Monster で再生してみたところ、ちゃんと再生できたのだが、かなり処理が重たい。プロパティを見てみると、unavailable の文字がいくつも並んでいる。GeForce 系のカードにしか対応していないソフトなのだろう。まあ、ビデオカード付属の DVD 再生ソフトなのだから仕方ないというか妥当だ。

そこで結局私は WinDVD4 の製品版を買ってしまった。ビックカメラで 3,880 だから思ったより安かった。本当は、OEM版からのアップデートで千円くらい安いパッケージがあるはずなのだが、店頭になかったので買えなかった。こちらは、このバージョンから TV-Out を気にせずに DVD を再生できる。プレビューバージョンで確認済みなのでその点安心して購入した。一方の PowerDVD も購入候補だったが、Dual CPU 環境では保証できない、との説明が箱に書いてあったのでやめた。本当は WinDVD も箱に書いていないだけで保証しかねるのかもしれない。だとしたら正直者が馬鹿をみたのかもしれないが、残念ながら世の中そんなものだろう。一応「免責」なんていう計算もあるのだろうが。

現在の相場からいうと、ゲームや DVD 再生ソフトがバンドルされているパフォーマンスクラスのビデオカードは大体二万円以上する。これは前の Leadtek 製品が GeForce2MX ながらも 18,800円した代わりにソフトがバンドルされていたことからも、傾向としてあまり変わっていない。今回私は、12,780円のカードに 3,880円の DVD 再生ソフトを買ってしまったので、さてどちらが得だったのだろうか。OEM版の DVD 再生ソフトは機能が落ちるのだろうか。それともバージョンが落ちるのだろうか。なんにせよ、ビデオカードにバンドルされている以上、この製品のような粗悪なパッケージでない限り、カードに TV-Out がついていようとちゃんと再生してくれるに違いない。だったら、最初からパフォーマンス重視のやや高めのカードを買ったほうが、ゲームもついてきて良かったのではないか。

とまあ文句を言ってきたが、性能自体は高い。安価なカードにも関わらず、しっかりと DVI と TV-Out がついているのも魅力的だ。実は店頭で ATi RADEON 7000 で DVI を搭載して 5,980円なんていう格安のカードも目にとまったのだが、どうせ買うなら最近のゲームもある程度快適にできるくらいの性能が欲しい。5,980円のカードはこれはこれでファンレスで魅力的なのだが、どちらを選ぶかは好みの問題だ。いや実は ATi は DVI の実装の仕方に問題があると言われていたんだった。忘れていた。どのくらいの問題だかは忘れた。DVI 自体問題が多いので、あまり深く考えない方がいいと割り切ってしまえれば楽なのだがそうもいかん。

そうそう。少なくとも現在の BIOS とドライバでは、二つのモニタで広いデスクトップを使うことはできないようだ。同じ画像を二つのモニタで表示することしかできない。一応モード選択リストになっていたので、将来的にサポートする予定があるのかもしれないが、私がいまやった限りでは無理だった。

画質は、いま私は DVI で表示させているせいか、交換前とまったく変わりない。アナログで表示させてもみたが、さほど大きな違いはなかった。実際にはっきりと見比べたわけではないので断言はできないが、明らかに劣っていたりはしなかった。

今回の教訓。やはり多少高くても信頼のできるメーカー製のものを買った方が、品質の良し悪しは分からないものの、粗悪品だろうかと不安を抱かなくて済むだけいい。経済的に小金ならそれなりに余裕のある私だから言えるのかもしれないが、多少ケチって今後の憂いを抱えるよりはいいはずだ。マイナーなメーカーを買うなら、安い製品を買おう。そのうちかつての Leadtek のようにブランドを確立したら、そのときに初めて廉価版ではない製品を買う。それがいい。もっとも、そんな Leadtek にもしっかりとドライバのバグとかチップクーラーの故障なんていうトラブルがあったのだが。

GeForce4MX や RADEON 7500, 8500LE あたりと比べると、さてどちらを買うべきか、私もはっきりと人に薦められない。やはり無難なものといえば GeForce4MX だろう。おそらくゲームを開発する人たちも nVIDIA を基準に作っているに違いない。Xabre も発売から一ヶ月二ヶ月過ぎたが、買った人の言葉が書かれたページがいまだにほとんど見られないのは、Xabre が基本的にはコストパフォーマンスを狙った製品だからという理由が一番大きいだろうが、決め手のなさも大きな理由の一つだろう。

nVIDIA や ATi の製品と比べて、性能でいえば十分な競争力があるらしい。だから、買ってもいい製品であることは確かだ。しかし薦めるとなると、あと千円二千円安くなるか、メジャーなメーカーからそれなりの価格で出ないと難しい。
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