ドラゴンクエスト5 天空の花嫁 (PS2版) |
父パパスはさらわれた母マーサの消息を追いながら、世界を救うはずの勇者を捜して我が子と旅をしていた。プレイヤーは父パパスの子の視点で旅をし、成長し、結婚し、家庭を作り、世界の平和を脅かす大魔王を倒す。人気コンピュータRPGドラゴンクエストシリーズの第五弾のリメイク版の一つ。
もともとはシリーズ初の任天堂スーパーファミコン用ソフトとして発売された。親から子へと引き継がれる壮大な物語、結婚相手をプレイヤーが選べること、モンスターを仲間にして好きに戦わせられる自由度、などによりシリーズ中では三作目と並ぶ人気作となっている。私はオリジナル版を遊んでクリアしたことがあるのだけど、なにかやりたりなさを感じていてもう一度やってみたいと思っていたので、このリメイク版をソフマップで980円で買って遊んでみた。
いまプレイしたら、当時なんとなくやりたりなさを感じた理由が分かった。特定箇所以外のストーリーや舞台が淡白であんまり印象に残らなかった。特に冒険の通過点に過ぎない街の数々。それでも険しい山の頂にある街だけは覚えていた。やっぱりすぐ通り過ぎちゃったけど。
じゃあ凡作だったのかというと全然そうじゃなくて、親子三世代にわたる物語の仕掛けがとても印象深かった。そのせいで街やその他のストーリーがかすんでしまっていたのだと思う。
まず導入部からして引き込まれる。主人公は父に連れられて旅をしている。その旅の目的は知らされていない。なにせ主人公はまだ幼すぎてなにも分からない年頃だからだ。そして行き着いた故郷の村で幼馴染の少女と再会する。幼馴染といってもまだ小さすぎてよく分かっていない。二歳年上の少女に引っ張られるままに、子供二人だけで夜の古城を探検する。そして再び父が出立して少女とは別れることに。
この作品を語る上で外せないエピソードとして、主人公が奴隷として働かされる展開がある。運命に翻弄される親子。シリーズ八作品中一番ドラマチックなんじゃないだろうか。時の流れがあるので他にもいくつかの仕掛けがある。妖精の力で過去の自分に会いに行くイベントや、石像にされて風雨にさらされたり、村が荒廃していたりする。
なかでも一番重要なのは、サブタイトルにもなっている結婚イベントだろう。金持ちルドマンから伝説の装備品を譲り受けるために、一人娘フローラの結婚相手にふさわしいかどうかを試す競争に参加することになる主人公。ルドマンから出されたお題を見事達成するが、その途上で幼馴染の少女ビアンカと再会する。ここで、いまもネット上で論争となっている結婚相手選びを迫られる。約束どおり大富豪ルドマンの一人娘フローラと結婚するか、それとも約束を反故にして幼馴染ビアンカと結婚するか。
私は最初にプレイしたときは筋から考えて大富豪の一人娘フローラと結婚することを選んだ。いくら幼馴染だからといってそれだけで運命的な再会なんていうものが演出されるのはどうか。フローラと結婚一歩手前まで行ってやめるのか。他の理由を挙げたけれど私がこの作品をもう一度やりたかったのはこの選択をやりなおしたかったからじゃないかとさえ思う。…まあ違うんだけどさ。
大富豪の一人娘フローラを選ぶと、幼馴染ビアンカは実家のある山奥の村に引き込んで一生独身で暮らすことになる。うわー。で今回幼馴染ビアンカを選んだら、フローラのほうはちゃんと相手を見つけて結婚していた。なんかこういう後戻り出来ない重要な決断みたいなものをプレイヤーに突きつけてくるところだけ見ると、作者の堀井雄二は天才なんじゃないかと思う。これまでにも文学の世界でこういうテーマは幾度も語られてきたけれども、ゲームというインタラクティブな作品で鑑賞者に選択肢を与えるというのは、芸術史の中でも特筆すべきことなんじゃないだろうか。ちょっとおおげさだろうけどそう思う。このソフトは数百万本売れているのだから、当時多くの人がこの話題を語り合ったと思う。当時というか今もネット上でリメイクのたびに論争が再燃しているらしいw 当時プレイしたのはいま大体三十代ぐらいの人たちなのだろうけど、まさかその中の半分が結婚していない世の中になるとは想像できなかっただろうなあwww
ゲームシステムについても色々と書くべきことが沢山あるのだけど、なんかもう書く気がしないので手短にする。コマンド入力式の多対多のランダムエンカウント方式の戦闘はゲームバランスが初心者には少し難しめだけど大体ちょうどいいくらいの難易度だと思う。モンスターを仲間に出来るけれど、適当に仲間にして適当に連れ歩くだけで済んでしまうので、積極的にモンスターを育てて遊ぼうという気のある人以外は物足りなく思うんじゃないだろうか。結局家族中心のパーティになっちゃうし。私はスライムナイトにメタルキングのけんを持たせてずっと使っていた。カジノで何度もリセットしてコインを稼いで、良い装備とMP全快アイテムと蘇生アイテムを大量にゲットしてから冒険を進めたので楽だった。
リメイクにより戦闘やフィールド画面は3D化されて見やすいけれど、Playstation3などの次世代機が当たり前となった今ではさすがに少し時代がかっていた。ドラゴンクエスト8も同じプレイステーション2用ソフトなのだけど、この5よりもやはり8のほうが特にアニメ絵の多用によりイラストレーションを手がけている鳥山明の絵の魅力が世界観に反映されていて素晴らしい。
発売元のスクウェア・エニックスはユーザーから悪名高いリメイク商法によりさらにNintendo DS用にもこのドラゴンクエスト5を出しているらしいのだけど、そっちのほうの出来はよくわからない。まあハードの性能からして特に問題ないレベルになっていると思う。なにせ最新のドラゴンクエスト9がそもそもDSで出ているぐらいだし。なぜか結婚相手としてデボラとかいうのが追加されていたり、さらなるリメイクでもう一人追加されているという話を聞いたことがあるが、ユーザーにはおおむね不評らしい。
まあそんなわけで、私自身は淡々と遊んで四十数時間でクリアして特に面白く思った点はなかったのだけど、一度も遊んだことのない人にとってはいまからでも遊んでみることを勧められる傑作だと思う。堀井雄二節で妙にベタな家族愛みたいなものがあって古臭く思うかもしれないけれど、今の若い人の感覚からすればどう受け止められるのだろう。
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