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人類は衰退しました 6
人類の文明が衰退し、もはや技術や文化を維持できなくなり、昔のような生活レベルで人々が細々と暮らしている空想未来の地球では、楽しげなことがあるとワラワラ沸いてくるなんでもありのメルヘンでサイケデリックな妖精さんと呼ばれる謎の存在がはびこっていた。教養的なファンタジーテイストの人気ライトノベルの第六巻。

今回は鳥人間コンテストの安全管理をおしつけられる主人公の女が妖精さんの力を借りて奮闘する「妖精さんたち、すかいはい」と、腐女子の旧友Yが来訪して同人誌さわぎが起こる「妖精さんたちの、さぶかる」の短編二本立て。

鳥人間コンテストのほうは、人力飛行機のさまざまな形と飛行の可能性について、例によって教養的な説明が物語中にサラリと語られる、まさにこのシリーズならではの話。それとは別に、こういう大会を開くと安全管理にどれだけ気を使うのかという運営の問題について、いい加減な主催者によるザルな状況に笑わされたあとに考えさせられた。

とまあここまでは素晴らしいのだけど、物語としてはさっぱり面白くなかった。なんだろう。助手さんが出てくるたびにイライラする。このキャラなんのために出してるんだろう。このシリーズでは若い男は去勢されていなければならないんだろうか。道中から出てきたちょっと愉快そうな双子の弟妹も結局無邪気なだけで終わっちゃったしなあ。

「解☆決(横ピース)」がウケた。普段は常識人として振舞っているけれど、妖精さんたちの暴走を抑えるためにちょっとテレながらも思い切ったヘンなことをしてしまうのがほほえましい主人公。妖精さんたちの道具によって仕方なくという状況だけど、実は結構自分からこういうことをやってみたかったりするんじゃないかという想像が楽しい。

同人誌のほうは旧友Yの暴走が楽しい。技術がある程度失われた世界が舞台なので、マンガとか印刷機なんかはもうほとんど残っていないのだけど、でも時々発掘されたりするらしい。それを研究と称して復元していくうちに、いつのまにかBL(ボーイズラブ)ものの同類誌(同人誌と同義でわざと言葉を変えているものと思われる)を近隣の村々に発行してしまい、一大ブームが沸き起こる。最近腐女子ネタが流行しているなあ。

後半はうってかわって密室シチュエーションもの。マンガの人気投票をパロった、本シリーズの目玉(?)の一つである文明批評的なものが描かれる。

正直当初、あまり面白くなかったと書いて結ぼうと思ったのだけど、解説していくうちにやっぱり面白いんじゃね?と思い直してきた。このシリーズは論理的に作品を読み解いていける人には面白いと思う。
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