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ロッテのおもちゃ 5巻まで
人間が住む世界とは異なる世界、妖魔たちが住むユグヴァルランドの王女アスタロッテは、幼い頃に母親と後宮の男との閨の営みを見て以来、男性不信になっていた。成体になるまでに直らないと生命維持に必要な男の精力を摂取できずに死んでしまう。これを案じた側近たちは、王女アスタロッテが11歳になったときにちょっとした弾みで人間の男となら情事の練習をしてもよいと言った言葉尻を捕らえ、人間界から心優しい23歳の男・ナオヤを連れてくる。男が苦手だった王女アスタロッテが心を開いていく。ファンタジー世界を舞台にしたちょっとHでほのぼのしたマンガ。

本作品が「アスタロッテのおもちゃ」としてアニメ化されたのを見て、いままでにない変わった設定に興味を引かれて、原作であるこのマンガに手を出してみた。なんか見覚えのある絵柄は、井上堅二「バカとテストと召喚獣」でイラストを描いていた人だった。

なんかいろいろ設定や方向性がおかしすぎる。まず王女アスタロッテは11歳なのだけど、サキュバス族なので成体になったら男の精力が生命維持に必要になることから、早々に男に慣れないといけない。もちろんいきなり本番なわけはなく、ちゅうちゅう(口づけ)から始めることになるのだが、なかなかそこまでもいかない。展開上ちゃんと歯止めは掛かっているのだけど。照れる王女はかわいい。

ユグヴァルランドに連れてこられた人間の男・ナオヤにはなんと10歳の娘アスハがいる。つまりナオヤが13歳のときの子供ということになる。…うーん。まあこれにはちゃんと理由があって、ストーリーが進むと説明されるのだけど、最初なんだこりゃって思った。でもナオヤとアスタロッテの関係とかアスハを一体どうするんだこれ。

基本的にほのぼのした感じで話が進んでいくのだけど、10歳の娘アスハはパンツを履かないクセがあってしばしばノーパンネタが出てきたり、女王とか校長なんかが露骨な下ネタに走る。これは新ジャンル「ほのぼのロリエロ」なのか?絵的にきわどいというか正直アウトなんじゃないかという描写が目立つ。これで感動路線を狙っているみたいなので、既存の枠組みから離れられないと読んでいて混乱する。

王女の側近たちが魅力的だった。男・ナオヤを連れてこれるほどの魔力を持ったメガネの女侍従長ユーディット、メイド頭で超巨乳な種族のエルフレダ、王女を守る親衛隊長のグリゼルダ。あとおまけで元侍従長の老人オラフと褐色肌のメイド、ほかにもストーリーの進行とともに少し増える。キャラの一人一人が魅力を持っているというより、種種多様な面々が協力しあって王女のお守りのために役割をこなしている感じが好きだ。

王女は学校にも通っていて、最初は孤立していて友達がいなかったのだけど、アスハの働きかけによって個性的な友達ができる。ほのぼのした日常と事件が交互に起きる感じ。

エピソードの一つ一つが軽い。軽いっていうのは能天気という意味ではなくて、シリアスなエピソードにしても触れ方が浅い。登場人物が次々に登場するのだけど、どのエピソードも人物紹介みたいな感じで話が面白くない。各キャラにそれぞれついているおいしい設定を利用して話を作っている感じ。なんだかんだで既刊分を全部読んでしまったのだけど、話として面白い回はほとんど無かったと思う。なんかもっと深く話を作って欲しかった。

キャラも弱いと思う。各キャラにはテンプレート的においしい属性がついているのだけど、本当にそれだけって感じ。登場人物を増やす前に一人一人キャラを掘り下げるようなエピソードをもっと描けばよかったのにと思った。巻が増えるに従ってキャラが順調に増え続けているのが怖い。どのキャラにも割とまんべんなく愛情が注がれているのだけど、それって作品にとっていいことなのか疑問に思う。なにやら戦争っぽい展開まで描かれ始めて、一体この作品をどこに持っていくつもりなんだろうって思った。

作者は長くイラストレーターをやっていた人みたいで、なんとこの作品は連載作品としては初めてらしい。それを考えると、いきなりこのレベルのマンガを描いてしまうのはすごいと思う。マンガ的にハッキリと違和感を感じたのはほんのわずかだった。コマ割がヘタかなと思った箇所もいくつかあったけど、別にアラ探ししながら読んだわけじゃないので気にならなかった。

この人の絵、好きだなあ。「バカとテストと召喚獣」のイラストのときから魅力的だなと思っていた。特に口をあけているキメポーズとか。デフォルメもかわいいし。

私はこの作品をそれなりには楽しんだけれど、まだ読んでいない人は読まないほうがいいと思う。こういうのもなんだけど、わざわざ読むに値しない作品だと思う。といいつつ、この作者の絵が好きな人には勧める。絵を楽しむための物語がついてる作品と思えばいいのかな。表紙の絵を見て惹かれたら読んでみるといいかも。
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