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自分はいったい、何者なのか?
 この手の漫画にありがちなのは、登場人物を次々とカテゴライズしてゆくような感。そして、読んでいる自分は、どれにも当てはまらないという確信を持ちつつ、余裕シャクシャクに鑑賞している・・・。自分はいったい、何者なのか、ほとほと疑問に感じる。
 理想の相手を求めつづける姿が「ハッピーマニア」であるという見解は、とても理解できる。理想の相手を想うことは、とても素敵な幻想であるから。ここで注意しておきたいのは、作者が描いた「幻想」は「理想の相手」であって、私や多くの人にとっての幻想は、「理想の相手を想うプロセス」なのではないかということ。人間、そう沢山の相手とはセックスはしない。親密にならない。そして、そんなに気持ちの良いセックスなんてしない。この物語の結論は、きしくも始めの頃に登場した「時枝くん」の論理に近い形で終わっているが、ラストのあたりの主人公や読者が、「時枝くん」を受け入れられるかというと、受け入れられないような気がする。そういった感情の機微こそが人間ってものだと思うが、そういう終わり方をしていないことが、やたらと気になる。
 理想の相手を見つけるために努力もせず、セックスで体当たりもせず、適当に流されて生きてゆくマッタリとした感覚に浸る人間を、都合よく弁護しつつ、そういう登場人物を客体化し、上の立場から眺める快感こそが、この作品のみりょくかな?
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