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ちはやふる 1巻とアニメ十数話まで
美人の姉を持つ小学生女子・千早は、モデルデビューを果たした姉を誇りに思い、自分のことのように応援していたが、あるとき「競技かるた」の面白さに取りつかれてのめりこんでいく。やたら強くて無愛想なメガネ男子・綿谷新と、幼馴染で実は千早に思いを寄せるイケメン秀才・真島太一がその傍らにあった。

マンガ紹介誌で大きく取り上げられていたので原作マンガを一巻だけ読み、アニメ化されたので十数話ほど視聴したが、結局この作品のどこがそんなに面白いのかよくわからなかったので途中で見るのをやめた。

作者は末次由紀という人で、この人は過去にパクりをやらかして長いこと休筆していたらしい。なんか以前この人の作品を読んだ覚えがある気がするのだけど、思い出せなかった。

「競技かるた」とはいわゆる百人一首で行う対戦型カルタ取りで、競技として洗練させるためにいくつか馴染みないルールが定められている。ここで詳しく説明する意味もないだろうから省く。この作品はその「競技かるた」をやるヒロインの活躍を描いており、ヒロインが強くなっていく過程が作品の軸となっている。

私は原作マンガを一巻までしか読んでおらず、あとはアニメ化されたものを見ての感想なのだけど、ヒロインに対してロクに感情移入できなかった。こいつは美人だけど変わり者という設定で、近くにイケメン秀才くんがいるのだけど目もくれない。このイケメン秀才くんがけなげで、相手にされないのにやたらとヒロインの世話を焼いてやるのだけど、ヒロインは小学生の頃に出会って別れたメガネ男子くんのことをなにやら心の奥でずっと想っている様子。

美人なのにそれを鼻にかけずひたむきに一つのことに打ち込む少女、なんていうと、ある種理想的なヒロインのように思えるのだけど、ここまで天然だとまるで怪物のように思える。物語はこの不気味なヒロインをひたすら持ち上げて活躍させ、時にはくじけさせることで盛り上げていくのだけど、一体この少女のどこに魅力があるのだろう。感情豊かで周りを引っ張っていくところ?うーん。

突き詰めて考えていくと、このヒロインは他人にも自分にも無頓着であることに気づく。他人の痛みに鈍感などころか、自分の中の想いもあやふやで、一体なにがそんなに彼女を駆り立てているのか不思議で、ただから回りしているように見える。ヒロインは幼少の頃から家族の関心が姉に向いていて自分がないがしろにされていたという設定があるのだけど、その設定がほとんど生きていない。それでも姉を尊敬し、鬱屈することなく一人努力する、その心の中も見えてこない。

というように人間が描けていないので、一応のバトルもの要素も白々しく思えてしまう。「読み上げられるかるたが音になるまえの空気の動きかなにかで分かってしまう」というヒロインの特性を聞いてもふーんとしか思えない。ライバルたちとのやりとりもぜんぜん魅力がない。

けなしまくってしまったけれど、見るべき点もいくつかはあった。まずヒロインの絵がとてもかわいい。特に和服姿が圧倒的に美しい。黒髪じゃないけど説得力があるのはすごい。また、物語を盛り上げる演出が素晴らしい。

結局ステマだったのかなあ。
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