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終物語(下)
とりあえず味方だと思っていた臥遠伊豆湖からいきなり攻撃を受けた阿良々木暦は、意外な場所で目を覚まし、意外な人物と再会する。吸血鬼を助けたことで自らも吸血鬼となった高校生の青年がたどりついた結末とは?人気伝奇小説「物語」シリーズの本編完結巻。

あと外伝が一冊出るらしいけど、もっと出続ける気がしなくもない。

一応の最終巻だけど中編三つで構成されている。一つ目が「憑物語」の伏線回収と結末までの整理、それとおなじみのキャラとの対話。二つ目が戦場ヶ原ひたぎとの卒業前デート。最後に忍野扇との最終決戦。

最終巻でこんなこぎれいにまとめちゃってよかったの?って言いたくなったけれど、それ以外には不満がないきっちりとした結末がついている。忍野扇の正体については納得がいったのだけど、なんか物足りないというかなんというか。

いまちょっと二分程考えてみて分かったことなんだけど、阿良々木暦の持っていた問題って果たして読者のどのくらいの人が持っているまたは持っていたのだろうか?この巻で阿良々木暦は自らの「青春の終わり」に行きつくのだけど、青春がこういう終わり方をする人ってあんまり多いとは思えない。阿良々木暦の悩み方っていうのは一言でいえば贅沢すぎる。贅沢な悩みってのは共感を得にくいんじゃないだろうか。なぜこのテーマを最後に持ってきたのだろうか。ひょっとしてこのテーマこそ作者である西尾維新自身が抱えていたものだったんだろうか。なーんてことを考えてしまう。

ちなみにこれを書いている私自身にとっての「青春の終わり」は、あまり他人のことを気にしなくなったことによって訪れた。…あ、まだあるな。向上心というものをどうでもよく思うようになったのもそうか。ちょっと阿良々木暦に近づいてきたかな?

まあ仮に「青春の終わり」を読者にうまく訴えかけられるよう照準を合わせることができたとしても、この作品の読者ってまだまだ青春が終わっていない人も結構多いんじゃないだろうか。青春が終わっていない人にこのテーマって受け入れられるんだろうか?わからなくても、なんかかっこいいな、って思えるのならいいんだけど。

読み終えてから気付いたけれど、「花物語」のほうが時系列があとなんだった。ってことはあいつは大丈夫なのか。

もう大して書くことがないから雑感でもメモっておくか。

リンクが切れた忍野忍がなんか急に大人びた感じで魅力的だった。あんまり心理描写がないのが残念だけど、なんか伝わってくる気がする。

正直、忍野扇の正体には少しガッカリした。もっとよく理解するには登場から読み返したほうがいいのかもしれないけれど、そこまで作り込まれていないような気がするのですぐに読み返す気になれなかった。いずれ再読するだろうから、そのときに心にとめておいてみたい。もう一度読んでみたらまた違った感想を持つのかもしれないなあ。
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