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空が灰色だから
一生懸命だけどうまくいかない女の子や男の子たちの病んだ日常を描いたオムニバス形式のマンガ。

2ちゃんねる系掲示板のまとめサイトの一つ「ニュー速クオリティ」でこの作品を取り上げたスレ(スレッド・トピック)を取り上げていて、一話丸々引用されていたのを読んで強烈な印象を受けたので読んでみた。週刊少年チャンピオンに連載されていたらしいが、Wikipediaによると作者はpixivというアマチュアの投稿サイトの人気作家だったらしい。

丸々引用されていたのが最終話だったことが全巻読み終わってから分かったのだけど、良いか悪いかはともかくこの作品を特徴づける一番のエピソードだと思うので簡単に紹介すると、友達とつながっていないと不安でしょうがない世代の中で仲間内で立場の弱い主人公の女の子が、立場の強い女の子たちの指示で罰ゲームとしてクラスで孤立している女の子と一週間だけ友達づきあいをするというもので、一週間ですごく仲良くなるのだけど最後に友達なのはウソだといって別れて強烈な自己嫌悪をするという話だった。すごく後味の悪い話なのだけど、世相を切っているし、人間の弱さが描かれていて、とても心を動かされた。

オムニバス形式なので基本的に毎回登場人物が違う。学生の女の子が多めだけど、男の子が主人公の回があったり、母親が主人公の回もあったりする。それでいて、唐突に終わったり、ヘンな落ちかたをしたりするので、読み進むのにエネルギーが必要だった。途中で何度も読むのを中断した。まあでも毎回違う話なので読むのを中断してもまた再開しやすい。特に初期の頃の話は読みにくい話が多かった。回が進むにしたがってちょっとずつ洗練されていっているように思ったので、最初ちょっと厳しいなと思っても読んでいくとだんだん読みやすくなってくると思う。…それとも単に作品に慣れちゃっただけなんだろうか。終始ブレないので、ちょっと読んでダメだと思ったら諦めたほうがいいかもしれない。

読んでいると心がえぐられるような感じがする。この作品に出てくる人々はみんな明らかに心か頭が弱い人たちなので、たいていの読者は笑い飛ばすことも出来ると思うけれど、どんな人にもどこかで彼らと同じような弱いところがあると思う。だから、もやっとするか、人によっては読んで苦しい思いをするかもしれない。学校をさぼって、子供のころ越えられなかった近所の行き止まりの塀を乗り越えに行く男の子の話があるのだけど、その先にはなんでもない道が続いていることを知る。

絵に独特のクセがあって、最初ちょっと抵抗があったけれど慣れてくると結構かわいい。

この作品と対極にある作品はきっと椎名軽穂「君に届け」だと思う。だから、「君に届け」みたいな素朴な女の子が好かれていくような出来すぎた話が大っ嫌いな人は、この「空が灰色だから」を好きになる可能性が高いんじゃないかと思う。
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