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池上彰の戦争を考えるSP 第5弾〜悲劇が生み出した言葉〜
終戦記念日あたりに元NHK記者の池上彰を前に出してテレビ東京が作った戦争特番。戦争で犠牲になった市民に焦点を当てている。

池上彰の解説が好きなので自分が少しでも関心のあるテーマを取り上げているときはとりあえず録画だけしていたのだけど、戦争特集ということなので自分にとってあまり目新しい情報はないだろうということで放置していて、最近になってようやく見てみたらその内容がなんだかプロパガンダっぽかったのでびっくりした。

二時間ちょっとの番組だったのだけど、内容は大体四つに分かれている。まず沖縄戦を扱っていて、日米の激戦を取り上げるとともに、ひめゆりなど犠牲になった市民について紹介している。その流れで次に樺太に侵攻したロシアが無抵抗な市民に襲い掛かったことを取り上げている。そして急に時代が飛んで現代のウクライナの内紛にロシアが「不当な干渉」をしていることを挙げて、最後に学徒兵の遺書を取り上げるとともに報道の自由について主張して終わっている。

何が驚いたかって、ロシアのウクライナ干渉を悪だと決めつけるような主張を、過去の戦争にかこつけて堂々と行っていたこと。それに、ロシアが日本の市民を虐殺したことは取り上げているのに、アメリカが日本の市民を虐殺したことはほとんど取り上げていない。ネットでの池上彰の評判は、分かりやすい解説はいいけどさらりとウソを混ぜてくるといったことを言われており、まさにそのとおりだと思った。

ウクライナの内乱は、選挙で選ばれた政権を武装勢力が倒したことで起きている。これは動かしようのない客観的な事実であり、陰謀論などではない。それを不思議なことになぜかアメリカなどのNATO諸国が武装勢力による不当な政権を擁護し、自治政府が存在して投票による独立の手続きが決められているクリミアのロシアへの帰属を非難している。そもそもクリミアはロシアのもので、ウクライナがソビエト連邦に参加するときにウクライナに編入されたのだから、ソビエト連邦が解消された以上ロシアが所有権を主張するのは当然の流れだと思う。それをわざわざその前のタタールがどうのと言ってロシアは不当だと番組が主張するのは意味が分からない。いまさらアメリカがハワイ王国を乗っ取ったと主張するぐらい歴史的にへだたりがある。

もちろんこれは戦争であり、アメリカがロシアに対して仕掛けたものだ。ウクライナの武装勢力の背後にはアメリカの資本家がいるし、防戦する側のロシアも軍人を非公式に派遣して民兵として戦わせていると言われている。どっちが正しいという議論には意味がないかもしれないけれど、少なくとも建前的にはウクライナの現在の政権には正当性はなく、この政権を支持するアメリカなどのNATO諸国に理はない。しかもウクライナに限らずグルジアでも同じようなことをやっている。

池上彰ともなればこのあたりの知識は必ず持っているはずなので、これはもう自分の意志でこのプロパガンダに協力していると言える。こんなものを堂々と放送しているマスコミに対しても強い不信感を持った。

まあ池上彰は意外と自分の興味のないことについては知らないだけなのかもしれない。アップルの創業者スティーブ・ジョブズのことを「技術者」と言っていたぐらいだし。
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