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改革者のペルソナ
組織に属する人間の行動原理を、人格という根本的な部分からもとらえて「ペルソナ」と呼び、当人がいかなる題目を唱えていても結局は組織の立場で行動するのだということを、幕末から明治初期の改革者・大久保利通を中心に、ゴルバチョフや小泉や竹中などを説明した文。

私が読んだのは週刊アカシックレコードのメールマガジンだが、もともとは作者の佐々木敏が週刊東洋経済に「大久保利通〜非情の仮面(ペルソナ)に殉じた男」として書いた文章らしい。期間限定で週刊アカシックレコードのウェブにも転載されている。

私の中では、ゴルバチョフの説明が一番分かりやすかったので、大久保利通ではなくゴルバチョフのことを挙げることにする。

ゴルバチョフは旧ソ連の大統領だった。彼はペレストロイカによる改革や冷戦の終結なんかで功労があるが、ソビエトが解体されると大統領の地位といっしょに自分の政治基盤が失われてしまうため、最後の最後で守旧派になってしまったそうだ。しまいには独立しようとした共和国の民主的な選挙を妨害したりもしたらしい。

逆にエリツィンは、ロシア共和国から民主的な選挙で選ばれ、ソビエトが解体しても基盤を保てるどころか、旧ソビエトのなかで中心的なロシア共和国のリーダーなので、さっさとソビエトが解体してくれたほうがいい。

徳川慶喜の例も分かりやすい。幕府の有力な批判者だった彼も、自らが将軍になったとたん、倒すべき旧体制の象徴になってしまった。

大久保利通は、西郷隆盛よりも功労も人気もなかったが、武士という旧体制の支持層により祭り上げられた西郷とは対照的に、躊躇なく武士の影響力を潰すことができた。

このような歴史的な例を出して、最後に小泉を出すのがこの文章のキモだ。彼は結局自民党の総裁ではないかと。だから小泉には期待できないと。ただし、竹中には政治的なしがらみがなく、小泉は竹中を放任しているので、竹中が自由な改革ができると言っている。

いかに個性が突出しようと、組織的な立場を十分に考える必要がある、ということを分かりやすく興味深い例で説明していて、とても面白い文章だった。

ただ、小泉と竹中がどれだけやってくれるかについての「予言」が出なかったのが少し残念。
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