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帰国子女が見た「没落ニッポン」
帰国子女たちの日本への意見、日本を背負った者としての主張が何本かまとめられた特集。

読んでいて非常に共感できる記事もあったが、印象に残ったのは共感できないほうの記事ばかりだった。

彼らはだいたい日本の文化を尊敬している。ずっと日本に住んでいる日本人以上に気に掛けている。そして、日本の悪いところについても日本人以上に敏感だ。ここはおかしいんじゃないか、アメリカはこうだった、そんなのは日本だけだ、といくつも指摘している。しかし日本の美徳と日本の悪習は表裏一体だということにまったく気づいていないのだ。

それに、私が住んでいたあの国ではこんないいところがあるのに、日本にはそんなところがまったくない、という論法はおかしくないだろうか。それはかの国が優れている点であって、日本が劣っている点とはまた違うはずだ。

多分彼らの頭の中には、理想的な国はこうあるべきだというものがあって、いろんな国のいいところを取り入れていけるんだ、と思っているのだろう。

もっと低級なところになると、こんな発言が飛び出す。髪をシルバーに染める若者を見て、受験勉強で髪が白くなったのかと思った、と。髪を茶色や金に染めるのはファッションで、銀に染めるのはなぜファッションではないのか。表参道に三人の帰国子女が繰り出してツッコミを入れる記事は、読んでいて特にイライラした。

総じて帰国子女というものは、日本には突っ込めるようだが、自分のいた外国には突っ込めないのではないか。バイリンガルのような幼少の頃から外国にいた人でも、留学のような大きくなってから外国に住んでいた人でも、滞在期間の長短に関わらずなぜ日本に批判的な傾向をもつようになるのか。それを突き詰めていったところに、日本の美徳の根源が見つかるんじゃないかと思った。
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