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イラク日記(1)大使館訪問
インターネットを中心に海外の様々なメディアから情報をかき集めて分析してみせる国際ジャーナリスト・田中宇が、メディアを通してではなく実際に現地に足を運ぶことにしたそうだ。それを今回から日記形式で送るらしい。

日本にあるイラク大使館に作者がビザを取りにいく話から始まる。作者だけでなく、NGO なんかの人々がイラクに行くことが流行っているらしい。人間の盾を自ら志願し、アメリカによる攻撃をやめさせようということらしい。イラク政府は無償で宿を提供しているそうだ。

一方で、大使館に嫌がらせの電話を際限なくかけてくる人もいるらしい。こちらも恐らく NGO の活動家なのだろう。有志のボランティアなのだろうが、考え方の違いによりやっていることが全く異なっている。

アメリカは全世界の電話を盗聴できるのに、イラク大使館は一人の女性の電話攻勢で毎日電話が鳴りっぱなしで業務に支障をきたしている、との作者の言葉は印象深い。

書記官という大層な地位のイラク人が、経済制裁で物資の足りない祖国に必要なものを手荷物で運んでくれるよう日本人旅行者に頼み込んでいるのだという。仮にアメリカとイラクのやっていることがなんであれ、ここまで国力の違いを見せつけられては、いかに世の中を知らなくても何かを感じることができるだろう。

まあそういった体験談だとか挿話だとかが普通に書かれているだけなのだが、とにかく分かりやすいのがいい。この作者による去年暮れの「サウジアラビアとアメリカ」という三回シリーズは、読んでいて圧倒されるほどの内容と量があり、ここで評を書くのが億劫になってしまった。分析が読みたければこれらの文章を読むと満足できるだろう。今回は普通に分かりやすくて興味深かった。

ところで私が読み比べている佐々木敏は、アメリカの対イラク開戦の時期について消極的に三つぐらい日付を予想していたが、いまのところ攻撃は行われていない。田中宇はほとんど何も予想していないが、一応開戦が遠のいているとの分析をしている。このあたりをこれからも追っていこう。
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