幸腹グラフィティ 2巻の途中まで |
両親が仕事の都合で海外暮らしをしているため、祖母と二人で暮らしていた中学生の女の子・町子リョウだったが、祖母が亡くなってからは親戚に助けられながら一人暮らしをしていた。そんなある日、祖母の作ってくれた料理を思い出し、習った料理をひさしぶりに作ってみたがおいしくない。しかし、はとこの少女きりんに料理をふるまって一緒に食べるとおいしいのだった。美術高校を目指す孤独な受験生だったリョウの周りがにぎやかになっていく。グルメ系日常もの四コママンガ。
いつだったかアニメ化されたのを見て、大して面白くなかったので途中で切った。アニメの間が悪いだけでマンガだともっと楽しめるんじゃないかと思って読んでみたが、やっぱりマンガも大して面白くなかった。
自分はグルメもので楽しめる作品に出会ったことがほとんどないので単に相性が悪いだけなのかもしれないけど、ストーリーが少しでも食べ物に絡めばそれでよしみたいな展開の作品ばかりで、グルメもの自体が欠陥ジャンルだとさえ思う。それに、読んで食欲をそそられても欲求が満たされないというバカバカしさ。いったいどこがいいんだろう。あ、「食戟のソーマ」(原作:附田祐斗、作画:佐伯俊)のアニメは面白かったか。
じゃあなんでわざわざこの作品を読んだのかというと、自分はグルメものは嫌いでも日常ものは好きだから。美術学校を受ける少女たち(話が進むと美術学校の生徒になる)というところが蒼樹うめ「ひだまりスケッチ」を思い起こさせるし、個性的な生徒たちのなにげなくも魅力的な日常が描かれるんならきっと面白いに違いないと思っていた。でもアテが外れてしまった。
主人公の町子リョウはちょっと頼りないけれど自活力のある女の子。この物語は主にこいつの視点で描かれているので、この少女の素朴な感性がこの作品の底にずっと流れている。中学生なのに一人暮らしという時点でもうありえないと思うのだけど、一応若い叔母が時々様子を見に来ている。
はとこの森野きりんは、ちっちゃくて元気な少女で(名前負けしているのが少しウケる)、怪獣のような食べっぷりで周りを幸せにする。物語が始まったばかりのときは郊外に住んでいて、予備校に通うために週に一回だけリョウの家に世話になる。
クールな少女の椎名さんは、すぐ人を突き放すような冗談を言い、誰とも仲良くならないように見えて、次第にリョウたちと仲良くなっていく。家がお金持ちで、お手伝いさんまでいる。お手伝いの露子さんがめっちゃ料理が上手だけど性格が曲がっていてヘンなことばかり言う。
たぶんこのへんまでが序盤の主要登場人物なのだけど、誰にも愛着を持てなかった。
なぜ面白くないのか分からないのでもう一度見返してみたら、登場人物がヘンにテンションを上げたりわがままを言ってオチにしたりするケースが結構目についた。まあ好きになれないからこんな風に思うだけのことかもしれない。でも、身を挺したギャグとか、ちょっとシャレにならない失敗とか、本気の勘違いなんかがあまりなくて、こんな冗談言ってみたりして、みたいなヌルいギャグが多くて、愛着を持つとっかかりに乏しかったと思う。
でも売り上げは知らないけど単行本が7冊出ているのでそれなりに人気があるみたい。一人暮らしの孤独感から友達ができる流れで、同じような経験をした人たちのハートを掴むんだろうか。
食べているときの絵がエロい。顔を紅潮させてもだえている感じ。でもやはり好きになれない。狙ってる感が露骨だからという以前に、彼女らの食べ物に興奮している姿にそもそも魅力を感じない。
リョウは料理でみんなと自分を幸せにしたいんだろうけど、そんな少女の願いの先を見届けたいと思えなかった。でもって、料理は好きだけどやりたいことは美術関係で、だからわざわざ美術学校を選んだんだけど、美術を勉強して何をしたいのかというのは作中ほとんど語られない。目的も何もないからストーリーにも惹かれない。
男がまったく出てこない。それは別にいいんだけど、登場人物同士のダイナミクスが希薄なので話が面白くない。自分が読んだ2巻の途中だと、誰かと誰かの仲が悪いだとか、逆に大好きだとかなかったと思う。ほのぼのした作品という方向性ならそれでいいと思うのだけど、そうじゃなくて登場人物たちがやけにテンションを上げている場面が目立つので、なんか空回りしているなあと思ってしまう。
というわけで、色気のある食事シーンがどんなものかを見たい人以外には勧められない。
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