HEM8 |
デジタルアンプで有名なアメリカのオーディオ機器メーカーNuForceがAV機器メーカーOptomaに買収されてから作ったイヤホンHEMシリーズの最上位機種。Knowles製のバランスドアーマチュアドライバを左右に4つずつ計8個搭載し、それらを高精度に組み合わせて幅広い周波数をカバーしつつ一体感のある音を出す。
よく読んでいるSandal先生のオーディオブログにこのHEMシリーズが非常に好意的に紹介されていたので記憶に留めていたところ、アメリカのクラウドファンディングサイト(?)Massdropでなんと280ドルで投げ売りされていたので衝動買いした。配送料と関税も掛かったので日本円で大体三万二千円ぐらい。ヨドバシではいまも六万円台で売られているが、日本では大体五万円前後で手に入る。
こいつの音の特徴は、Westoneの独特な味付けをさらに強くしたような、耳に心地よい箱鳴り(ビビり)風の不思議な倍音がある一方で、そのせいだと思うのだけどちょっと閉塞感があって解像度が落ちている。多分Westone以上にアンプや音源を選ばずよく鳴ってくれる代わりに、いいアンプで鳴らしてもそれほどよく鳴ってくれない。
Westoneの旧UM-PRO50を買ってWestoneサウンドを気に入った自分は、そのあとW60を買ったのだけどちょっと予想と違ってスッキリしていて拍子抜けした。たぶん当時の自分はこのNuForce HEM8のような音を期待していたのだと思う。そのぐらい音の特徴が似ている。旧UM-PRO50は高域が伸びないのに対して、このHEM8は高域から低域までよく出ており、リッチな味付けの音を全域で聴かせてくれる。
ただ、ずっと聴いていると閉塞感を感じてくる。こいつを持って外出してずっと聴いていると、帰りぐらいにはなんかちょっと音に飽きて耳が詰まったように感じた。その点、Westone W60は最初少しスッキリしすぎて物足りない感じがするのだけど、飽きずにずっと聴いていられる。やはり老舗メーカーの製品のほうがこの点に関しては一日の長があると思った。
それでもこいつはなかなかの完成度だと思う。自分としては総合的にHEM8はW60より少し劣るぐらいの位置づけをしてもいいと思うし、HEM8のほうがいいと言う人も中にはいると思う。なにより個性的で使い分けができるのが大きい。
ネットではドライバ1つのHEM1でも十分だと言っている人がいた。自分はHEM1を聴いたことがないのでなんとも言えないのだけど、HEM8の独特のチューニングがHEM1にも感じられるのであれば、HEM1でも十分という意見もあながち極論ではないと思う。HEM8はクロスオーバー(ドライバ同士の狭間)をしっかり作ってあるせいか、あまりマルチドライバな感じがしない。
自分の感想もネットに上げてみたのだけど、解像度が低かったと言ったら賛同が得られなかった。ひょっとしたら個体差や感じる差があるのかもしれない。あるいは、「低い」というのは言い過ぎで、特筆するほど高くはないけれど十分解像度があるというのが一般的な評価なのかもしれない。ちなみに「解像度」とは視覚的な言葉なので、本来なら「分解能」という言葉を使うのが正しいらしいけれど、慣習的に使われているので自分も使っている。
同社のホームページを見てみるともうワイヤレス製品しかカタログに載っていなかった。これも時代の流れなのだろうか。
小さい携帯用のギターアンプを大ボリュームで鳴らしたときのような箱鳴りのビビり音や、サチュレーションが掛かったようなちょっとかすれた音が好きだという人は、試してみてもいいと思う。なんかこう書くとまともな音が鳴らないように思われるけれど、あくまで超高域の味付け部分の話なので、ボーカルとか楽器の音がヘンになるわけではない。音質の悪い音源を出来るだけ自然に豊かに聴きたい人にもいいと思う。逆に、いいアンプといい音源で普段音楽を聴いている人には少しもったいないと思うけれど、たまに聴く分にはいいと思う。
まあでもWestoneのW40やUM-PRO30のほうが手堅いとは思う。時々セールをやっていて三万円ちょっとで手に入る定番だし。
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