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【研究】対等な個人も「囚人のジレンマ」により搾取関係に陥る 東京大学
共犯者同士が互いの利益を追求するあまり互いの不利益に至ってしまう事象をモデル化した「囚人のジレンマ」をもとに、もともと対等な二人の人間同士であっても搾取する側とされる側に分かれてしまうことを理論的に証明した東京大学のグループによる研究成果を、大学ジャーナルオンライン編集部が紹介しそれを巨大掲示板5ちゃんねるの記者ガーディスが引用して立てたスレッド。

前に認知科学会で発表されたこの手の論文を紹介して脳科学全盛のいまどき時代遅れなんじゃないのと言ったのだけど、5ちゃんねるのニュース速報+板でこのスレを見つけて読んでみたら面白くて実際有益な知見だと思ったので考えをちょっと改めた。

「囚人のジレンマ」とはWikipediaによると数学者アルバート・タッカーがランド研究所で行われた実験をもとに考案したもので、ゲーム理論の中でもっとも有名なゲーム(いわばシチュエーションのモデル)として広く知られている。すごいシンプルに言うと、互いに黙っていれば罪が十分に立証されないのに、相方がゲロったら相方が減刑されて自分だけフルに罰を受けるので自分もゲロっておいたほうがいいだろうと思ってしまいうまく協調できないというもの。

こんな理論が一体なんの役に立つんだという話を一応しておくと、集団心理の動きに説明がつけられることから社会科学全般とくに経済学なんかに有用だということ。あんまりピンときていない人は甲斐谷忍「ライアーゲーム」を読んでみるといいと思う。

個人の利益と集団の利益が相反する状況というのはいくらでもある。そんな中で個人より集団の利益を優先する集団が生き残ってきた。たとえば先の大戦で日本は特攻(自爆攻撃)を行ったことが賛否両論となっているけれど、自分が一番かわいいような人々の集団は歴史の中で早々に滅び去っているんだと思う。もちろん集団主義が行き過ぎてしまうと個人が疲弊してしまうのでやはり集団の存続が難しくなる。

東京大学のグループによる研究は、正直中身を読んでいないので詳しいことはよく分からないのだけど(!)、このモデルに初期状態を設定した上で学習の要素を入れた場合に、本来対等な立場である二人の共犯者の間に搾取関係が生じうることを理論的に証明したものらしい。くだけた言い方をすると、あの人には何を言っても無駄、みたいな状況が起きてしまい、我を通す人はあくまで我を通すようになり、譲歩する人はどんどん譲歩していってしまうようになるという。

「囚人のジレンマ」の場合、搾取する人はどういう風に振る舞うんだろうか。やっぱりあくまで自白し続けるってこと?そのうえで相手には自白しないことを求め続ける。うーん、これって搾取される側にとって一方的に損なのに一体どうやって学習すればそうなるのだろう。搾取され続ける人っていうのはあくまで相手が自白しないと信じ続けるってこと?相手が毎回違うのか何回かごとに変えるのか。確かに世の中には「善い人」というのが存在するわけだし、そういう人はこれまでの人生経験により「学習」してそうなったわけだ。

スレでは>>2が早速「当たり前の経験則」と冷めた目で言っているのだけど、経験則が証明されたのは大きいと>>50が言っている。実際、こういうことってよくあるよねというあるある話から、必然的にこうなるということが理論的に分かったのは大きいと思う。

>>7が「共感性に乏しい俺が俺がって人間が成功してまともな人が成功しない理由なんじゃね」と言うと、それに反応して>>20が「成功したと見える人イコール他人にしてもらうのが当たり前な人でその周囲にたくさんの犠牲者がいる事が知れ渡るのでここで終わりかと」と言っている。米アップルの創業者の一人スティーブ・ジョブズのことが思い浮かんだ。さすがに研究自体に圧力が加わることは考えにくいけれど、人々がこれに気づいてしまうと集団の弱体化につながってしまうかもしれない。

>>9がこれを朝鮮人と日本人に当てはめていてよくある嫌韓ネタがここでも出てきて笑ったのだけど、実際ブラック企業なんてのは日本だからこそ跋扈しているのであり、大陸の特に中国人だったら良い意味で自分本位なので一方的に搾取される前に抜け出してしまう。逆に言うと、島国の日本人だからこそ譲歩しすぎて誰かに搾取され、その結果として我の強い人のもとにあらゆる資本が集まって経済的に大成功したのかもしれない。羊に率いられた狼たちよりも狼に率いられた羊たちのほうが強いというのはこの点でも正しいんじゃないかと思う。島国にいるお人よしの日本人はたまに現れるサイコパスをリーダーに祭り上げて暴走する国民性なのかもしれない(笑)。

この理論で考えると、中国人というのは血のつながった人しか信じないので、中国は資本主義では決して成功しないことになる。まあ一方で通販サイトaliexpress(アリババ)ではシステム的に売り手と買い手とを信頼関係で結ぶ仕組みがあって大きくなっているし、アメリカだって契約や法律という信頼関係で無理やり発展してきた(中国は人治主義だからこの方法は無理)。日本も何か手を打たないと落ちぶれていくだけになってしまう。

>>65曰く「行きすぎた寛容は相手を増長させるだけだと実験で改めて証明された意義は大きいよ」「ゲーム理論の実験で優勝した戦略が基本的に相手を信用するが裏切り者には徹底的な報復を加えるというものだった」本当かどうか知らないけれどこれは歴史に裏付けられていると思う。

>>73曰く「ヤンキーの『舐められない』ってのは馬鹿なりの本能最適戦略ってこと」これは単に我を通す人がヤンキーと呼ばれているだけだと思う。ヤクザや半グレにも秩序はある。

>>152はゲーム理論が応用には口を濁すと言っている。

>>161は組織心理学者アダム・グラントによる用語「ギバー」「テイカー」「マッチャー」で既に説明されていると言っている。>>232が言っているように社会は二人だけじゃないのでギブアンドテイクできる関係だけ深まっていく。

こういう記事を発掘して投稿する記者や面白い議論を展開する住人たちがいるからこそ自分はずっと新聞や雑誌がわりに5ちゃんねるのニュース速報+を定期巡回している。最近ちょっとスレタイ(スレッドのタイトル)の書式が乱れているのがうっとうしいけれど。
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