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60代の孤独死 定住外国人が団地の片隅で…
日本に出稼ぎにやってきた日系ブラジル人の六十代の二人の労働者が孤独死するまでの足跡を追った短いドキュメンタリー。

現代の奴隷制度とも言われる技能実習生制度の問題など、日本の大企業が国に働きかけて安い労働力を強引に得てきたことによる歪みに関心があったので見てみたのだけど、そういうところにはまったく踏み込んでいかず、外国人労働者の日本での悲惨な生活にばかり注目していてあぜんとした。

一人目は母国で会計士をやっていたという頭脳労働者だった人が、日本では工場で肉体労働をしていて、朝から晩まで働いては家に帰って寝るだけの生活をただひたすら繰り返していたことや、家族と離れ離れでさみしがっていたこと、ブラジルの食材を売っているスーパーに通っていたことなんかが語られる。

でもなんか見ていてアレッて思った。ひょっとしてこれって家族の問題なんじゃないの?家族はブラジルで普通に暮らしていて、娘は大学まで行っている。その娘は旅費が掛かるからとあまり会ったことのなかった父親の遺骨を引き取りに来るのさえ拒んだという。

もう一人のほうも、労働者の支援をしている人の救いの手を断って公園のベンチで凍死している。

最後に大学の先生が外国人労働者の実態について簡単に解説していて、非正規が多いだの保険や年金に入っていない人が多いだのデータを示し、こういう社会保障制度について彼らにちゃんと説明する必要があると言っていたけれど、そういう話なのだろうか?

最後以外は視聴者にただ感情的に訴えるだけで、いったい何を伝えたかったのだろう。国や企業に任せず、地元の人たちで助け合いましょうって言いたかったんだろうか?

今治は小さな会社だったから踏み込めたけど、名古屋の外国人労働者は大企業が相手だから踏み込めなかったということなのだろうか?

NHKはかんぽ生命の件ではだいぶがんばったと思うのだけど、圧力を受けたと言うから尻込みしたんだろうか。

この問題はひとごとではない。安い労働力として外国人が入ってきたことで、日本人の賃金が低く抑えられてきた。家族もろくに養えないような日本人が増え、特に団塊ジュニアの世代はベビーブームが起きなかったどころか出生数が半減する事態となっている。日本なんてどうなってもいいと思っている多国籍企業と、彼らから金をもらっている政治家のせいだ。いよいよ日本が傾いてきてようやく国難とまで認識するに至ったが遅すぎる。それでもいまからでも政財界にどのような動きがあったのかきっちりと検証していくことが必要ではないだろうか。
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