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ソードアート・オンライン 7巻 マザーズ・ロザリオ
VRゲームの仮想現実の中に一万人ものプレイヤーの意識を閉じ込めたソードアート・オンラインの事件を生き残った結城明日奈は、親に反対されながらも別のVRゲームをプレイしつづけていた。ある日、《絶剣》なる二つ名を持つ剣士が辻試合をしていると聞き、自らも剣士としての血が騒ぎ参加する。ファンタジーゲーム小説。

アニメで見て泣けた。と同時にとてもよく出来た話だと思ったので、この原作小説も読んでみた。やっぱり感動した。

この巻の主役である結城明日奈はシリーズを通したメインヒロインで、ソードアート・オンラインでは大手ギルドのサブリーダーをやっていた。ゲームの中のアバター(キャラクターの外見)は現実世界のプレイヤーの顔をスキャンして作られており、彼女は美少女であったため大変有名だったが、一方でゲームの攻略を引っ張っていくためメンバーを叱咤する冷たい少女として知られていた。

そんな彼女だったが、新しく始めたALOでは特にギルドに参加することなく、仲間内でほのぼのとプレイしていた。みんなでギルドを作ろうかという話もあるにはあったが、そこまでするほどではないということで立ち消えになっていた。そこへ《絶剣》と出会い、こいつに乞われて少人数パーティでのボス攻略の手伝いをすることになり、彼らと一緒に行動するうちにもっと仲良くなりたいと思った彼女は、仲間に入れてくれと頼むのだったがなんと断られてしまう。その理由は意外なものだった。

ネタバレになってしまうのでどうしたものかと思うのだけど、まあ説明しなくてもいいか。

この作品の素晴らしいところは、明日奈が親と衝突して無力な自分にくじけそうになるところを、ゲームの中のなにげない出来事により《絶剣》に生き方のヒントを教わり、自分で道を切り開いていくこと。読んでいて、ああ人と人との出会いはなんと尊いことなのかとため息が出た。

ただ、よく考えたらあのシーン、MMORPGあるあるが分かっていない人には伝わったんだろうか。シリーズをここまで読んだ人ならたかがゲームになに熱くなっちゃってんのとは思わないんだろうけど、占有行為の良し悪しやそこからの展開の意味は理解できるんだろうか。自分は分かり過ぎて読んでいてゾクッときた。

やはりアニメが素晴らしかった。オープニングのアニメーションで、明日奈ことAsunaが《絶剣》たちのパーティに加わった瞬間の、ゲームのUIを模しただけのシステマティックなだけの動画すら、自分にとってはグッときて毎回見てしまった。もちろん、楽しそうに見えて悲しい内容を暗示しているところも意味が分かってからはジンときた。

VR用のカメラが向きや焦点の調整のために機械的な音を立てていたのはいまとなってはちょっとおかしかった。いまでは特殊なレンズで全方位いっぺんに撮ってソフトウェアで補正するのが当たり前になっているから。
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