Stardew Valley (スターデューバレー) |
都会で黙々とコンピュータに向かう仕事に嫌気がさした主人公は、祖父の誘いを受けて農場の経営を引き継ぐことにしたが、ずっと放置されていたのか農場は荒れ果てていた。村の人々の助けを借りて農場を発展させていきつつ村のコミュニティに貢献する。アメリカのインディゲーム作家Eric Baroneが日本のマーベラス「牧場物語」シリーズに影響を受けて作った農場経営ロールプレイングゲーム。
たぶんどっかのステマブログを見てこの作品を知ったのだと思うけど、いまどきチープな2DグラフィックスながらPCゲームプラットフォームSteamで異様に高い評価を得ていたので購入を決めた。色んなプラットフォームで出ているのでiPad Proでプレイしたいと思ってiOS版を買った。15ドルぐらいだったはず。コロナの影響を受けて任天堂「あつまれ!どうぶつの森」が世界的に異例の800万本以上という大ヒットを記録しているが、こっちはなんと全世界で通算一千万本以上売れているらしい。面白かった。
オープニングの殺風景で孤独な職場で働く主人公の絵とか、ベッドで寝ているおじいさんの絵が素人くさい(インディゲームだからしょうがない)ながらちょっと胸にきた。まあそれはいいとして、なんだかんだあって初めて農場に着くと2Dゲームのドット絵でぼうぼうに木が生えた様子に早くもげんなりした。続いて最初のクエストで村人全員に挨拶しろというのがあって、洋ゲーにありがちなクセのある顔の絵の住人たちを探し回って会話していくうちにやる気が萎えていき、そのまま数か月ぐらい放置してしまった(笑)。
とりあえず住人のことは気にしないで自宅の前を切り開いて畑を作り、パースニップという安い作物を育てることから始めた。石や木をどけ、土を耕し、種を植えて、毎朝ジョウロで一マスずつ水をやる。マーベラス「牧場物語」の少なくともgamecube版はやたら水をやるのが面倒というか操作性が悪かったのでストレスがたまったのだけど、こっちは2Dなので操作はしやすかった。種は村のピエールさんとこの商店に売っている。
パースニップは四日で収穫できるのだけど、朝に水をやり終えると暇になるので村の中を散歩することになる。最初は地理が分からなくてイライラしたけれど、村の中心部に大体の家が集まっているほか、ロビンの大工作業場とマーニーの牧場が村はずれにあるぐらいなので分かってくると歩きやすくなる。
クエストをいくつかこなすうちに荒れ果てた公民館を復興させる「バンドル」と呼ばれる一連の納品クエストが始まるので、農作物を作ったり酪農品を採取したり簡単な加工品を作ったりして納品していく。季節によって作れる作物が違っているので、最低でも一年経たないと揃わない。出来不出来もあってゴールド品質のものを五個以上用意しなくちゃいけないものがあったり高価な家畜を育てないと採れないものがあったりするので結構時間が掛かる。自分はこの「バンドル」を後回しにしてしまい、一年目の夏になってようやく始めたので春の作物がなかなかそろわなかった。
出来ることが増えていくのが楽しい。最初は畑を耕すだけなのだけど、家畜小屋を建てると家畜を育てることが出来るようになる。飼葉が要るので干し草を育ててサイロに貯めておかないといけない。最初はニワトリで毎朝卵を産んでくれるので、そのまま出荷してもいいしマヨネーズを作ってから売ってもいい。マヨネーズのほうが高く売れるけれど、作るには道具と少しの時間が必要になる。なお、家畜を解体して肉にすることは出来ない(家畜自体を売ることは出来る)。
作物への水やりもスプリンクラーを設置すれば自動的にやってくれるようになる。その他、面倒な作業はそのうちやらなくていいようになるので、いつまでもちまちま作業する必要はなくなる。よく考えられている。
最初は面倒に感じた村人との会話も、彼らのことが分かってくるとだんだん楽しくなってくる。インディゲームだからなのか村人の設定が結構攻めていて、村はずれにテントを張って住んでいるホームレスのライナスが村でゴミを漁っていたり(!)、足を悪くしてほぼ一日中テレビの前でぶつくさ不満を言う車いすのへんくつじいさんジョージと嫌々介護しているその妻エブリン、毎晩酒場で飲んだくれている母子家庭の母親パム、戦争帰りでポップコーンの弾ける音が銃声に聞こえて錯乱するケント(ストリートファイターのガイル少佐っぽい外見してる)とみんな個性的。
マーベラス「牧場物語」と同様にゲーム内で結婚できる。候補は男女6人ずついる。同性婚もできる。自分は男だしゲイでもないので女から選ぶことにした。変人で冒険にあこがれるアビゲイル、酒場の手伝いをしているスピリチュアリストのエミリー、その姉で美人で自己中のヘイリー、売れないアーティストのリア、理屈っぽくて看護婦をやっているマル、飲んだくれの母親パムの娘で苦労人のペニー。
結婚するには好感度を上げていかなくてはならず、そのためには週に二回までプレゼントをする必要がある。ピエール商店の娘アビゲイルがよく広場や商店の中にいるのでプレゼントをあげやすく、次いで毎晩大体酒場にいるエミリーとよく接触できたので、自分の場合は必然的にこいつらの好感度を上げていった。
好感度が上がると段階的にイベントが発生する。アビゲイルとは一緒に彼女の部屋でゲームをやったり墓場や鉱山で冒険にあこがれる彼女との会話があったりして、こいつ結構自分と相性が良さそうだなと思ったのだけど、こいつは目立つために髪を青く染めるという痛いところがあった。まあそれでもいいかと思ってプレゼントを上げつつ、花束を上げて彼女にすることが出来たのだけど、最終的に自分が結婚したのはエミリーのほうだった。
エミリーは酒場でバイトしているだけあって愛想がよく、性格的には一番好感が持てるんだけど、スピリチュアルがひどくて精霊がどうのとかわけのわからんことをよく言っている。自分は現実ならまず敬遠するタイプの女なのだけど(怪しいもの買いまくったりヘンな習慣を押し付けてきたりしそう)、知らないうちにアビゲイルよりも好感度が上がってしまったのでまあいいやとばかりに結婚を申し込んだ。イベントは割と面白かった。
正直マーニーやロビンと結婚したかった。既婚者だから無理だった。
男キャラも個性豊かで、スポーツバカでいつか自分は活躍できると信じているアレックス、自由人で海岸のボロ屋に住んでいるエリオット、医者のハーヴィー、部屋に引きこもってプログラミングしているセバスチャン、そいつと仲がよくて音楽好きのサム、心を病んでいるものの本当は気のいい青年シェーン。この中でもし結婚するなら医者のハーヴィーが一番金持ってそうだけど、こいつあんまり面白くない。個人的にはプログラマーのセバスチャンが好みだけど、結婚相手としてはちょっと気難しいのでイヤかも。まだ全部のイベントを見てないのでよくわからない。サムがいまどきの若者で普通っぽいけど、こいつも何か抱えていそう。
結婚すると一緒に住む。ベッドもいっしょ。子づくりイベントもあって子供もできる。ある程度成長すると子供にも好感度ができるけれどまだあんまり上がっていないのでよくわからない。
好感度を上げるには自分は最初、鉱山で取れた宝石類を上げていた。宝石は大体の人が喜んでくれるから(アーティストのリアだけは嫌がったけど)。鉱山はダンジョンになっていて敵がうろついている。戦闘はどちらかというとアクションゲームっぽいけれど、自動的に武器を振る設定にしておけばあとは位置取りを考えるぐらいなのでそれほど難しくはない。敵に囲まれないように一体ずつ倒していけばよい。敵にやられると病院に運ばれる。持ち物もいくつか紛失してしまうので注意。
野営は出来ないので、眠くなる前に家に帰らないといけない。午前1時になると気絶して次の日になってしまう。鉱山はとても深いけれど5Fごとにエレベーターがあって(!)、一度到達すると開通していくようになっている。
村では定期的に祭りとかのイベントが発生する。行っても行かなくてもいいんだけど、なんだかんだで自分は全部行った。二年目以降も同じイベントなんだけど、住民のことを知るにつれて会話の意味というかなぜこの人はこんなことを言っているのか分かるようになる。
とにかく何をするにも初期投資が必要なので金策をする必要があるのだけど、鉱山で取れるものは使い道がありそうなので安易に売るのがためらわれたため、自分は暇なときに魚釣りをするようにしていた。スキル制のこのゲームで釣りのスキルが真っ先に最高の10になった。魚はそこそこいい値段で売れるし、イベントにも料理にも使える。まあ料理にはおもったほど使えなかったけど、バンドルの納品クエストで季節の魚をいくつか釣るという目的があるので必要になる。
最初のとっかかりさえ乗り越えれば地味ながら良作なのでそれなりに楽しめたのだけど、気に入らない点もいくつかあった。
クエストが分かりにくかった。公式Wikiがあるので攻略に行き詰まったらそれを見ながらやったのだけど、探し物系のクエストはどれも分かりにくかった。ロビンのなくした斧を捜すだとか市長のパンツを捜すだとかライナス(乞食)のなくしたベリーのバスケットを捜すだとか、自分はみんな自力では見つけられなかった。
ピエール商店の掲示板に張られるランダム系のクエストは納期が次の日までなので時間が短い。彼らの欲しがっているものが手持ちになければ手に入れ、そのあとで彼らに渡す必要があるのだけど、彼らがどこにいるのか最初は分からなくて難儀した。ゲームを遊ぶにつれて住人の行動パターンが分かってくる。というか最初はどこに住んでいるのかもよく分かっていなかったので地図や公式Wikiを見て探す必要がある。そういう情報を掴んでいくのが楽しいゲームなのでそれは別にいいのだけど、期限が短すぎてイライラする。そのうち面倒になってこの手のクエストは受けなくなってしまった。好感度を上げるためにわざわざクエストをこなすより、出会うごとにプレゼントするほうがはるかに手軽だから。
二年が過ぎるとおじいさんが夢の中(?)に出てきて一応のエンディングとなって、それ以降は新たなイベントが起きることなくゲームが続く(まあ好感度イベントがあるので上がり切るまではイベントがあるけど)。それはいいとして、あれだけ貴重だったイリジウム鉱石を毎朝いくつか入手できる不思議な像が手に入ってしまうので、もうダンジョンに潜る必要がほとんどなくなってしまう。事実上のラストダンジョンであるドクロの洞窟にはエレベーターがないので一日で潜れるところまでしか潜れない。
自分はまだいくつかこのゲームで目的を残していて、その中で最大のものは最強の武器を手に入れることで、そのためにはレインボージェムという虹色の鉱石を見つけないといけないのだけど、もうあとは運でドロップさせるしかないみたいなので面倒になってしまった。
一日の時間は限られているので時間を有効に利用することが求められ、それがゲームを成り立たせているのでもあるけれど、割と時間に追われてイライラする。店が開いていなかったり閉まったりする(定休日もある)。農場が発展してくると、収穫したり卵とか牛乳とかを回収したりしているうちに昼になってしまう。
農場が軌道にのってくるとお金が楽に手に入るようになるのでそれ以上やることがなくなる。まあ、大規模農場を経営したいわけでもないのでゲームはこのあたりでおしまいということなのだろう。
なんだかんだで60時間ぐらい遊んだ。もう一回最初から効率厨でプレイしてみたい気持ちもあるのだけど、他のゲームも遊びたいのでいったんやめることにした。まだjojaマートのバンドルが残っているけど。そういえば公民館の再建ではなくjojaマートのルートもあるみたいだったけど、そっちは納品クエストじゃなくてお金で全部進めるらしいのであえてやる必要はないかなと思った。でもそっちのイベントも見てみたい気もする。
iPadつまりタブレットPCで遊んだのでタッチパネルでの操作がある程度便利だったけど、家庭用ゲーム機でコントローラーを使って遊んだ方がやりやすかった気がする。移動したい場所にワンタッチで移動できるのはいいのだけど、画面はスクロールするので何回かタッチしないといけない。
絵のクセさえ拒否反応なければそれなりに楽しめる手軽で面白いゲームだとは思う。でも地味なゲームだし戦闘も単調なので誰にでも楽しめるわけではなさそう。個性的な住人たちを好きになれるかどうかも人それぞれだと思う。ゲーム好きなら、ライトゲーだと思ってちょっと金払って遊んでみるぐらいの価値はあると思う。
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