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カラオケ行こ!
合唱部の部長をやっているメガネ中学生男子の聡実くんだったが、イケメンやくざの狂児に目をつけられて半ば強引にカラオケ店へ連れていかれる。組では定期的にカラオケ大会が開かれており、一番ヘタだとヘンな入れ墨を入れられてしまうので歌を教えてほしいと乞われるのだった。少年マンガ。

「川島・山内のマンガ沼」でお笑い芸人コンビ麒麟の川島がやたらと推していたんだけど、そのときはふうんとしか思わなかった。その後、同じ作者による「女の星の園」がマンガ好きの間で評判なのを知り、自分も読んでみてとても面白かったのだけど、あとになってこの二つの作品が同じ作者のものだと気づいたのでこっちも読んでみた。微妙だった。

イケメンやくざの狂児は全然その筋の人間には見えず、まったく凄まずフレンドリーに聡実くんに接してくる。でも彼も必死なので、逃げようとする聡実くんをふんわりがっちりと時には弱みも見せながら引き留めてくるので、聡実くんは仕方なく色々と教えていくのだった。

やくざと中学生の友情を描いた作品(?)ということでその点は悪くなかったのだけど、聡実くんが終始嫌がりながらもなぜか少しだけ狂児のことが気にかかってくるという程度のバランスなので、自分としてはそこまで友情っぽいものを感じられなかった。

聡実くんは変声期を迎えようとしていてそのことで悩みを抱えるのだけど、狂児のほうは聡実くんの問題にはあまり踏み込んでいかない。最後、狂児のほうはトラブルに巻き込まれるので、聡実くんはあわてて彼のもとに駆けつけ、それがクライマックスとなって単行本一冊の短い物語が終わる。

聡実くんは眼鏡をかけた真面目そうな中学生の男の子なので自分はそれほど魅力を感じなかったのだけど、ひょっとしたら女性読者からしたらかわいい存在なのかもしれない。そんな彼がやくざの狂児に振り回されて戸惑ったり逆に開き直ったりするところがますますかわいいんじゃないだろうか。狂児もそんな聡実くんの態度に押されて泣き顔の顔文字を送るといったかわいいところも見せる。

いまやっと思い至ったのだけど、最後に聡実くんが狂児に歌を捧げるシーンで、狂児ならきっとこの曲を歌っただろうって聡実くんが想像するところは、本当の友達に対する深い理解みたいなものが感じられて良かったと思う。このシーンがなかったらひょっとしたらうわべだけのなんとなくの友情(?)ってだけで終わっていたのかもしれない。

とここまで読み込んでみても(?)自分にとってそれほど面白い作品ではなかった。話の筋もそんなにいいとは思えないし、じっくり読んで嚙み締めないと味が出てこないんじゃないかと思う。こういう話が好きそうな人なら読んでみるといいと思う。
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