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治癒魔法の間違った使い方 〜戦場を駆ける回復要員〜 コミカライズ版 1巻だけ
勇者召喚の儀式に巻き込まれてファンタジー風の異世界に転送された高校二年の兎里健だったが、巻き込まれただけの彼には当然魔王を倒すほどの力はなく、しかしなぜか治癒魔法の才能があることがわかったのだった。「王国救命団」に連れていかれた彼は、そこで鬼のようなスパルタ式教育を受ける。小説投稿サイトに書かれた作品が原作のファンタジーマンガ。

回復魔法を扱ったアニメがおもしろかったのでこれを手に取ってみたら全然別の作品だった(笑)。決してつまらなくはなかったけれど、自分にとってはいやな感じがしたので1巻で見るのをやめてしまった。

「王国救命団」とは要するに戦場で傷ついた兵士たちを癒す治癒魔法の使い手たちを中心に構成される特別な部隊なのだけど、その影響力により敵から集中して狙われることとなり損耗率が高かった。そこで団長のローズの方針により治癒魔法の使い手であっても身軽に戦場を駆け回れるよう身体を鍛えまくるようになったのだった。

なんかもうこの設定がおかしい。そんなに大切な要員だったら守ればいいだけの話だし、けが人が出たら別の人間が搬送して連れてくればいい。治癒魔法使いは攻撃魔法使いよりもバカにされているという設定らしいけれど、現実世界を見ても医者と軍人だったらどっちが尊敬されているかなんて自明だ。

こういういびつな設定の作品ってもうそれだけで読む気をなくしてしまう。いくらこの作品でこれから素晴らしいストーリーや人物描写があったとしても背景でひっかかってしまって楽しめない。

教育のやりかたが軍隊式なので(まあ軍隊なのだけど)洗脳するように新兵を罵りながらひたすら負荷の高い訓練をさせる。この作品どうやらそれなりに売れているらしいのだけど、やはり世の中にはこんな感じで洗脳教育を受けた体育会系の運動部員や企業戦士が多くて、自分たちの受けた教育がなんだかんだで正しくて自分たちのためでもあったんだということを信じたいからなんだろうなあと思った。

というわけでどうしても皮肉まじりになってしまうけれど、かつて厳しい教育を受けて成長したという人には、その追体験とともに十二分に報われるという夢のような展開が楽しめると思うので読んでみるといいと思う。
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