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「第4次台湾危機?!・安倍元総理の功績」陸・海・空 軍人から見たシリーズ
自衛隊の3軍の元将官たちを呼んでウクライナ情勢を解説してもらうというYouTubeのチャンネルくららの人気企画の枠で、最近あった台湾危機について解説しつつ、後半は自衛隊元幹部から見た安倍元総理の姿を紹介した回。

チャンネルくららのことは正確には知らないのだけど、多分憲政史家の倉山満が主催しているYouTubeチャンネルだと思う。自分がこの人のことを知ったのは、ネットで支持を集めている政党として先日の参議院選挙で注目された参政党の、副代表である神谷宗幣がやっていた勉強会にゲスト講師として呼ばれていたのをYouTubeで見たのが最初だった。話がすごくおもしろくて著書も二冊ほど買って読んだ。でも今回取り上げる「軍人から見たシリーズ」には企画としてタッチしていないようで、第7回の記念企画では司会だけやっていた。むしろ個人チャンネルじゃないところが逆にすごい。いま調べたら経済評論家の上念司との共同運営らしい。

今回は結論から言うとアメリカの下院議長ペロシがこのタイミングで台湾を訪れたのはアメリカの火遊び(?)なんじゃないかということだった。その理由として、毎年この時期に中国人民解放軍は軍事演習をしていること、ちょうど北載河会議という引退した大物政治家もまじえた大きな会議をやっている時期で習近平が面子を潰されたこと、ペロシは次に落選しそう(だから注目を浴びたかった?)というのを挙げていた。

中国がやたら何か所にもわけて軍事演習をした理由も、第3次台湾危機のときは一か所だけだったところへアメリカの空母を中心とした2つの機動部隊に踏み込まれてなにもできなかったからじゃないかと分析していた。すごく納得した。

3人の元将官にはそれぞれ特徴があっておもしろい。まず元海将の伊藤俊幸は旧海軍からの伝統なのか国際法に強く、大学でも教えているとのこと。ウクライナ情勢のときもロシアの動きを国際法に照らして分析し割と客観的に解説していたように見えた。それに加えて毎回話をおもしろくしようとネタ(?)を突っ込んでくる。正直その半分ぐらいは全然おもしろくなかったけど、ニコニコしていて楽しい人だと思う。

元空将の小野田治は空軍の話題がそれほどないせいなのか、毎回裏回しというか話題を作って他の二人に話を振って盛り上げようとしている場面をよく見た。専門家でこういう動きをする人は珍しいのでなにげにすごいと思う。今回は後半で自身がハーバード大学に行っていたときに安倍が研究者たちに向かってきっちりと日本の立場を説明していたという話を紹介している。

元陸将の小川清史は他の二人が先輩だからとやたら遠慮しており、しゃべりがたどたどしいのが気になるのだけど、過去の戦史を引用していまの情勢を解説するのは見事で、話の内容としては三人の中で一番おもしろいと思う。ウクライナ情勢の解説も割と細かく軍の動きを解説していてとても納得がいった。今回は災害派遣のときに安倍元総理が現場として動きやすいよう的確な指揮を取っていたというのをとても具体的なエピソードで紹介していた。

そう、後半は題にあるように安倍元総理の功績の話になっていた。正直自分はあまり興味がなかった。あれだけ長いこと総理をやっていればそりゃ慣れてくるだろうぐらいにしか思わなかった。自分は安倍元総理について計りかねるところもあるのだけど、基本的には日本国民全体から見れば劣悪な政治家だったと思う。その最大の根拠は、いわゆるお友達の利益だけを追い求めていたことと、そのためにはルールも破っていたこと、そして反日カルトである旧統一教会との深いつながりがあったこと。原発の津波対策についても無視していた。

安倍を高く評価する人の理由として、ロシアの特にプーチンとも独自に友好関係を持っていたとか、アメリカの言うがままに中国を敵視せずに日本の利益を考えて動いていたとか、インド太平洋のどうたらで主導的な役割を果たしたとか言っているけれど、それらは基本的には全部お友達の利益で動いていただけだと思う。実際、日本国民はそのあいだずっと生活水準が下がり続けたし、少子化も放置しつづけた。

司会の桜林美佐がどういう人なのかよく知らないけれど、この人が企画して3人を呼んだのだとばかり思っていたら、今回冒頭で自分は単に呼ばれただけだと言っていた。そこそこ歳をくっているようだけど基本的には(元?)美人と言っていいと思う。この人は3人の話についていって割と適切に受け答えして司会進行していると思うけど、発言のタイミングがちょっと食い気味なのが毎回気になった。YouTubeだし時間に制限はないんだから3人の発言を最後まで落ち着いて聞くようにしてほしかった。

企画がいいと思う。タイトル見て気になるからついつい見てしまった。そして引退しても軍人としての分を守っているのか政治色がなく、ウクライナ情勢についてもプーチンの戦略について感情抜きに分析していた。今回のも結論としてはアメリカの挑発だと言っているけれど、良い悪いと言っているわけではない。まあでも元陸将の小川清史が民主主義うんぬんの話の中で中国の民主主義は遅れていると言いたげなようにも聞こえたし、日米同盟についても五十周年のときに民主党が政権をとっていて特に何もできなかったのを惜しんでいた。同盟を組んでいることを前提として動いていた元軍人の姿勢としては正しいと思う。

正直この手の解説番組はNHKなんかと比べると完成度の点では非常に劣り、もちろん制作費なんかにはものすごい差があるしNHKは自分たちで取材もしているのだから当たり前なのだけど、やはりテレビ局には報道姿勢に問題があって公正中立な内容にならないのが致命的で、その一点で今回紹介したようなコンテンツが大きな価値を持っており、より多くの人に見てもらいたい。
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