PX-MLT5PE |
日本のPCパーツブランドPLEXが出しているPC用のTVチューナー拡張カード。ソニー製の地上波/BS/CS兼用シリコンチューナーを5基搭載し、電波の種類に関わらず5番組同時に視聴または録画できるのが特徴。
同社のTVチューナーカードは安定性においてアースソフトのPTシリーズに劣ると言われてきたが、最近になって有志の人がpx4_drvというド安定のドライバを開発したことによりほぼドロップなしで録画できるようになり、なんだハードウェアは全然悪くなかったんだ、公式のドライバがいまいちなだけだったんだ、とTS抜き録画界隈の状況が一変した。
そこで自分も機会をうかがっていたのだけど、コロナの影響でジワリと値上がりし続けて完全に購入のタイミングを見失ったかと思ったら、突如として2022年10月15日あたりに通販サイトamazonで担当者による値付けミスなのか16,124円になぜかポイントまで約二千円分ついた状態で投げ売りされたので速攻ゲットした。案の定すぐに在庫がなくなった。
最初に言っておくと、この製品はマニアックな人向けのものなので、世間一般の感覚で言うところの「パソコンに詳しい人」ぐらいの知識がないと使いこなせないと思った方がいい。一応公式ページからソフトをダウンロードして説明どおりにインストールすれば普通にテレビ放送を見れると思うんだけど、B-CASカードがついてこないので別途入手しなければならないし、あまり親切な説明書きはない。それにおそらく大半の人はメーカーではなくて有志の開発したソフトを導入しているのでそっちはさらにハードルが高い。
そこまでやって初めていわゆる「TS抜き」つまり著作権管理の仕組みを除いた状態でテレビ放送をファイルに保存できる。法律的にはちゃんとB-CASカードを使ってデコードしているし個人利用なら問題ないはず。
前置きはこれぐらいにして、ハイパーバイザVMware ESXiを入れている待機マシンにさっそく刺して、Debian GNU/Linuxを入れている仮想マシンに割り当て…と思ったらパススルーできるデバイスの一覧に出てこなかった。あ、そういえばこれUSB接続だったわ。
どういうことかというと、これPCI-Expressカードなのにスロットからは電源しか取っておらず、別途USBの内部接続によってデータをやりとりしている。理由はよく知らないけれど、チューナーチップのリファレンス開発キットみたいなのがそうなっていて技術のあまり高くないメーカーはそのままそれで実装しちゃうんじゃないだろうか。ちなみに最近の同社のカードはようやくPCI-Expressのほうからデータを通信するようになったみたいだけど、なんと内部でUSB拡張カードとして動いているらしい。
というわけでUSB接続だからどうやって仮想マシンに割り当てようか考えてみて、なにせ大量のデータを転送するのだから出来ることなら既にパススルーしているUSB拡張カードのほうにつなぎたかったのだけど、この製品には内部用のUSBコネクタしかなくて自分の持っているUSB拡張カードにはつなげなかった。内部コネクタのあるUSB拡張カードに買い替えるのも面倒なので、とりあえずチップセット内蔵のUSBコントローラーをパススルーしてみたのだけど、他のポートごと一緒になっちゃうのが少し気持ち悪く感じた。結局もう普通に一個のUSBデバイスとして割り当てることにした。
px4_drvはさすがにPTシリーズのドライバのようにLinuxのカーネルに元から組み込まれてはいないので、カーネルをビルドして組み込まなければならない。Linuxはカーネルがモノリシックつまり一個のバイナリでできているのが特徴だしそのシンプルさが利点らしいので仕方ない。モジュールはダイナミックにロードできるのになぜなんだと思ったけど、たぶんあくまでモジュールとして分離できるというだけで、接続口みたいなものはあらかじめカーネルに組み込んでおかなければいけないんだと思う。にわか知識なのでよく知らない。
ネットで検索したらバカでもドライバをインストールできるようコピペでコマンドラインを入力していくやりかたが載っていたのでそのとおりにやってみた。DKMSを使う場合と使わない場合とで二通り書いてあったのだけど、DKMSというものがなんなのかよく知らないので調べてみたら、どうやらカーネルのバージョンアップに合わせて自動的にドライバをビルドして組み込んでくれる仕組み(?)らしい。あきらかにこっちのほうが良さそうだったのでDKMSを入れてからpx4_drvを組み込んだら認識された。これでたぶんカーネルのバージョンアップが来ても自動的にドライバもビルドしてくれるはず…ってDebianのメジャーバージョンを上げない限りカーネルってマイナーバージョンしか上がらないんだっけ?
自分のマシンにはすでにPT3用のBonDriverを入れてあったので設定を流用しようとしたら、PT3がdvb版なのに対して今回のpx4_drvはchardev版らしいのでBonDriverProxyの設定の仕方が違うみたいだった。dvbはBonDriverみたいな中間ドライバ(?)で、これに対応したソフトから色々できるみたいだけど、chardevは多分Linuxの生のドライバでキャラクターデバイスのことだと思う。余計な実装がされていない分、こっちのほうが安定してそう。
あれこれいじっているうちに普通に動き、メインマシンからBonDriverProxyを使ってのTVTestでの5番組同時視聴と、ESXi上の別のWindowsの仮想マシンからのEDCBでの5番組同時録画に成功した。一回しかテストしていないけど、ドロップは3番組で0、残り2番組で数ドロップしていた。原因の切り分けができていないのでなんとも言えないけれど、電波が悪かったりWindows側のマシンで処理落ちしていたりする可能性もあるのでこれで十分だと思う。
いま思い出したんだけど、前回同社のPX-Q1UDを仮想マシン上のWindowsに直接つなげたらうまく動かなかったのでわざわざLinux上で動かして二台体制にしたという経緯をすっかり忘れていた。こいつはWindowsに直接つないでも動くんだろうか?もう面倒くさいので試さない。なんとなくWindowsよりLinuxのほうが安定してそうだけど最近はどうなんだろうか。
まあこれでなにかあったときのための待機マシンにPT3が一枚刺さっているだけの頼りない環境から脱却できた。ほかにPT2が二枚刺さったWindowsの実機もあるので、4番組以上同時に録画可能なマシンが(主+副)×(稼働系+待機系)で4台体制になった。これ以外にもPT2の予備もあるので当分は困らないと思う。
チャンネルサーバつまり全番組録画の夢もあったのだけど、電気代食うしエンコードしなおさないと容量食うしエンコードするとCPUも食うのでやめた。いまさらもうテレビなんてあんまり見ないし。
というかもう個人がテレビを録画する時代は終わろうとしているのかもしれない。各種サブスクリプションやら民放の動画サイトやNHKプラスなどがあれば実用上さほど困らないわけだし、今回みたいに金と手間を掛けて環境を構築するぐらいだったら毎月いくらとか払って見た方が楽でいいと思う。…dアニメストアが値上げするらしいけど。でも公式の動画サイトって過去一週間とかしか遡れなかったはずだし、ひどいのになると番組によっては残らないものもある(おそらく権利上の都合で)。
というわけで、録画した番組をレコーダーの故障の心配なくずっとパソコンに保存しておきたい人や、そこまでしなくてもデスクトップPCでテレビ放送を安く録画しておきたい人なんかは、パソコンの知識に自信があれば検討してみるとよいと思う。
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