【3DLIVE】「別世界」/ Amane Kanata 3DLIVE "Another world"【#天音かなた3周年LIVE】 |
天使の女の子のアバターをかぶって動画サイトYouTubeでゲーム配信などでアイドル活動をしているホロライブ所属VTuber天音かなたが、活動3周年記念でライブをするという体で作られた3DCG動画。
声がかわいくてトークがそれなりにおもしろくて歌唱力も高い、いま自分が一番推しているVTuberが力を入れたライブということで、当然配信開始と同時に見てみた。とてもよかった。ただしちょっと気になる点もいくつかあった。
今回「別世界」というタイトルがどんな趣向なのかと思ったら、前半はボカロ曲が中心で、特に初音ミク全盛期の名曲「ロミオとシンデレラ」「メルト」を入れているのが目を引いた。ステージの中央にブラウン管のテレビが積み上げられていたのはアトラス「ペルソナ4」を思い出した。
初音ミク界隈では「千本桜」あたりが一番の名曲だとされているみたいだけど、自分はdoriko「ロミオとシンデレラ」が一番の名曲だと思っていて、それを今回歌ってくれていたので自分的にはすごい盛り上がるかと思ったら、それほど気分が上がらなくてびっくりした。聴き飽きちゃったからだろうか。
ryo「メルト」まで聴いて少し納得したのだけど、歌い方が原曲にかなり寄せられていて、結構そっくりだったのはなにげにすごかったと思う。でもそういうのを聴きたいんじゃないんだよなあ。これに先立つクリスマスの歌枠リレーで歌った「KICK BACK」「レディメイド」でも思ったんだけど、米津やAdoの歌い方や雰囲気をマネるのはうまいし、歌いこなす歌唱力は素晴らしいと思うんだけど、そのあと歌ってトレンドにまで上がったらしい「ぺこみこ大戦争」も含めて結局ものまね歌手がしたかったのかと思ってしまった。カバー曲を歌うんであれば、歌い手としての個性をもっと出してほしかった(「ぺこみこ大戦争」は除いて)。
ライブは中盤になって「少女レイ」から雰囲気が一転して、なんと堕天する展開になる。新衣装で「悪魔の子」を歌ったのはすごい良かった。天使で売っている女の子が闇落ちして悪魔になってしまう演出は本当に素晴らしかった。この演出が活きたのは彼女の圧倒的な歌唱力あってこそだと思う。
その後はその世界観のしめくくりとして、なんと自身の作詞作曲である表題曲「別世界」を歌う。一回聴いただけだとあまりピンとこなかったけれど、サビがちょっとキャッチーで悪くない曲だったと思う。その後、MV(ミュージックビデオ)も見てみたらこの曲がいわゆる「カオナシ」をテーマにしていたのでびっくりした。アイドルの女の子をスクリーン越しにしか応援できないボク。ファンを挑発しているかのようでちょっと危ない気もしたんだけど、多分かなた自身がアイドルオタクだったからその気持ちを歌っているんだと思う。
最後にあのファンの間で伝説となった「ボロ雑巾(!)」と呼ばれているオリジナルTシャツを着てオリジナルコミックソング「特者生存ワンダラダー」を明るく歌って〆た。ここでいつもの明るいかなたんが戻ってきてみんな安心する(?)。やっぱりTシャツが一番かわいい!ちょっとエロいし。
事前に予告していたとおり、ロングトーンの見せ場が2回あって、どっちも歌唱力の高さを強く印象付けた。広い音域だけでなく声量も十分で、ファンの贔屓目ではなくホロライブ日本勢では星街すいせいに勝るとも劣らない実力があると確信した(まあこれが贔屓目ってやつなんだけどw)。
若干揺り戻しはあった気がするものの今回割とクセの少ない普通の歌い方をしており、特に「unravel」はTKの極端にかすれたような歌い方はせずに、それでも原曲の切ない絶叫がすごく響いてきた。
でも、結局のところかなた自身の本気の歌声にそこまで魅力がないことも突きつけられてしまった。この声は商品にはなりにくいと思う。
星街すいせいにはあの一聴すればすいちゃんの声だと分かる独特の魅力的な声があるわけだし、わためにもLisaや藍井エイルなんかの二番煎じっぽいけどあの女性ロックシンガーっぽい声があり、船長(マリン)やポルカも艶っぽい声で気持ちよく聴かせてくれる。
天音かなたも普段のトークの声は独特で非常に魅力的だしそれは最後の「特者生存ワンダラダー」でも証明しているのだけど、本気の歌声ではその良さがそこまで出てこないことを改めて浮き彫りにしてしまった。アニメ声で歌えと言いたいわけじゃないんだけど、うーん、これはないものねだりなんだろうか。
ただ、さっき二回目を聴いてみたら、これはこれでなんかいいなとも思えてきた。水樹奈々だって茅原実里だって大体こんなもんだよなあという他人下げなことも思った。でもちょっと声を加工しすぎだとは思う。イコライザの掛け方がトゲトゲしい。前よりは多分マシになったと思うけど。
今回MCで地声に近い声(?)でしゃべっていて、ちょっと大人びた感じがしてドキッとした。かなたさんだった。
グッズ紹介は最後ラップ調になるのがちょっとおもしろかった。普段マシンガントークをするんだし、本格的なラップも聴いてみたいなと思った。カリオペに対抗してほしい。
自分にとってはほんとどうでもいいことだけど、ダンスのほうはそれほど見るべき点はなかったと思う。手の演技でいいなと思うところは2箇所ぐらいあったけど。
このあとメンバーシップ限定でアンコールライブが行われた。その中でかなたが、20年、30年、40年先もやっていく、みたいなことを言っていてちょっと感動した。たぶん生のアイドルがそれだけ活動を続けたらホラーでしかないのだけど(笑)、VTuberなら一応それも可能だと思う。別にそこまでしてほしいわけじゃないんだけど、なんというか真剣さが伝わってきて胸が熱くなった。ちなみに自分はメンバーシップギフトをもらっただけのにわかなので「へい民」(彼女のファンネーム)ではない。
ファンとしてはすごくいいライブだったと思うけど、たぶん人に勧めてもよっぽど純粋に歌が好きな人以外からはそれほど大した反響は返ってこないだろうなと思った。ルーナのほうなら勧めたいんだけど。2022年4月の誕生日ライブの方とか。この動画を見るのは彼女を好きになってからのほうがいいかもしれない。
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