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Fate/Grand Order
人類の未来を観測する謎の機関カルデアに研究のため呼ばれた主人公だったが、そこで謎の事故にあい過去の世界へ飛ばされる。あらゆる時代の英雄たちが「サーヴァント」として召喚され、呼び出した「マスター」の思惑あるいは独立した意志で戦いを繰り広げる中で、主人公は人類の未来を取り戻すために戦う。同人サークルだったTYPE-MOONのヒット作Fateシリーズをもとにした、最近までもっとも人気のあったスマートフォン向けソーシャルゲーム。

よく会社の愚痴を言い合う同僚がいまだにこの八年前のゲームをやっているらしく、一世を風靡したゲームであることだし、ソシャゲ(ソーシャルゲームつまり本来はSNS上で提供される非アプリのゲームのことだったけれど転じて基本無料の課金型ゲーム)はサービスが終了すると一切遊べなくなるのが原則であることから、いまのうちにどんなゲームか分かる程度には遊んでおこうと思って始めてみた。つらい。

まずはストーリーなのだけど、Fateシリーズ共通の世界観として現代の「魔術師」たちが過去の英雄たちを「サーヴァント」として召喚して戦い合わせるというのがあって(にわかだから違うかも)、このFate/Grand Order(以下FGO)は大いなる秩序を取り戻すために様々な時代へ飛び、その時代の狂った英雄たちと相対してその原因となった特異点をなんとかするというものになっている。最初のstay nightやアニメ二作目のzeroなんかは「聖杯戦争」という個人の戦いのドラマだったのに対して、このGrand Orderは組織ぐるみの勧善懲悪な(?)ドラマになっている。

組織に入ってきたばかりの主人公のことをなぜか「先輩」を呼ぶ不思議な女の子マシュを突発的な事故によりなぜか「デミ・サーヴァント」にしてしまった主人公は、なんの英雄の力を得たのか分からず自分の変化にとまどう彼女とともに、変わり果てた世界をもとに戻すためにマスターとして戦う。

すっとぼけ系の主人公で、ストーリー中に出てくる選択肢の数々が大体やれやれ系だったり空気読まない中二臭い冗談だったりして、選ぶのに毎回抵抗があったけれどまあこれはこれで楽しめたかなと思う。どれ選んでも全然変わらないくさいし。

自分が降参したのは、可憐な少女の姿で召喚されたマリー・アントワネットが、まるで道化のようなことしか言わないモーツァルトとふざけあったやりとりをし始めた時だった。え?FGOってこんな作品だったの?奈須きのこのシナリオが大人気らしいけどこれ?唖然とした。もうこのゲームをこれ以上やる必要はないなと思ったけれど、とりあえずゲームシステムを把握するために全Skipで続けることにした。

ゲーム画面はまずターミナルと呼ばれる全体メニューがあり、そこでキャンペーンやシナリオを選ぶことができるようになっている。シナリオを選ぶと導入となるストーリーが語られ、一通り読み終わると全体マップへ飛ぶ。行ける場所をどれか選ぶとそこへ即座に飛び、そこのステージを攻略できる。戦闘の前後にもストーリーが語られる。

戦闘はパーティ制であらかじめ手持ちのサーヴァントから三体と控えでさらに三体選んで編成しておいて戦う。敵は1~3体いて、さらにそれがwave制となっていて要するに何連戦かすることになる。細かいことはどうでもいいので説明を省くけど、要はシナリオに関係なくお気に入りのサーヴァントを育てて戦わせることができるようになっている。

なにせ八年前のソシャゲなので画面が基本的に2Dで、強力な技を出すと当時の豪華な演出が行われるのだけどパラパラマンガみたいで笑ってしまう。そりゃパズドラとかモンストとかと似たような世代のゲームなのでしょうがないのかなと思う。

育成システムはこの八年の間にかなり増改築されたあとがうかがえて、レベルを最大まで上げると限界突破みたいな仕組みが何段階かあり、そのためのアイテムを集めることになる。このゲームの最大の特徴として地道に周回しなければならないというのがあって、アイテムを集めたり経験値を稼いだりするために単調作業を強いられる。

このゲームがずっと続いてきた大きな理由として、インフレがほとんどないことが挙げられる。基本無料のソシャゲは課金してなんぼなので、どんどん強いキャラを出してそれらのキャラがいないと攻略が難しくなるようなバランスにすることで有料のガチャを引かせるのだけど、このゲームはそうせずに性能面以外でプレイヤーに気に入ってもらえそうなキャラを出していくことでガチャを引かせているので、これまで自分が大切に育ててきたキャラが使い物にならなくなる心配をしなくていいらしい。

ただ、いまこのゲームを初見でやりはじめた自分の感想として、どうやってキャラというかサーヴァントを育てていけばいいのかよく分からなかった。戦闘を重ねても直接経験値は手に入らないので経験値取得アイテムみたいなものを使えばどんなサーヴァントもレベルを好きなだけ上げられる。…いやそれだけだと上限までしか上げられないので限界突破する必要があるのだけど、条件が特定のアイテムを揃えることだけではなくて特定のシナリオをクリアしなくてはいけないものまであってよくわからない。

サーヴァントにはそれぞれ「宝具」と呼ばれる必殺技やその他スキルがあって、それも育てることができる。これもひたすら周回してアイテムを揃えなければならない。また、育てる対象はサーヴァントだけではなくて「概念礼装」というよくわからない装備アイテム(?)も強化できるみたいだった。

とにかく説明が面倒なので一言でまとめると、このゲームはいまから始めるものではないということ。それを思い知った。ストーリーも陳腐、システムも面倒、演出も時代遅れ。まあストーリーは中二病っぽいのが好きな人にはいまでも刺さるかもしれないけど。それにシステムや演出も長年プレイしてきたファンを大切にしてきて飽きさせないよう努力してきたんだなとは思う。

自分はいまこのゲームをiPad Proの当時一番高いグレードのやつで遊んでいるんだけど、それを買うきっかけがコロプラ「白猫テニス」だった。このゲームはひどいインフレでゲームが崩壊(※あくまで主観)したので引退した。そう考えると、FGOは運営も開発も優れていたんだなあと思う。いま来てケチつけてる私みたいなプレイヤーはお呼びじゃなかった。
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