MACH 10 |
アメリカのオーディオ機器ブランドWestoneが、自社のカスタムインイヤーモニターつまり個人の耳の穴に合わせてオーダーメイドするイヤホンのシリーズを、ユニバーサルつまり誰にでも使える標準的なイヤーピースのモデルとして出したMACHシリーズの最下級モデル。バランスドアーマチュアドライバ一基のみのシンプルな構成のイヤホン。
自分は同社(というかLucid Audioというところに事業譲渡されたので同ブランド)の前世代のモデルであるW60とUM-PRO 50を持っており、新モデルもそれなりに気にはなっていたのだけど、基本的な部分はあまり変わっていないだろうと思ってスルーしようと思っていた。ところが、ヨドバシカメラの通販サイトであるヨドバシドットコムにて一部モデルが投げ売りされだした。まずはMACH 60が89,800円のポイント10%還元にまで下がったのだけど、さすがに数万ポンと出す気にはなれないなあと思っていたら、この最下級モデルが12,800円のポイント10%還元で投げ売りされだしたので、ついつい買ってしまった。
まず出音が小さくて音量を上げる必要があったのでスペックを調べてみたら、なんとインピーダンスが80Ωもあった。イヤホンにしてはかなり高い方だと思う。バランスドアーマチュアドライバたった一基でネットワーク回路があるはずもないので、この一基に相当コイルを巻いているんだろうか。
すごく張りのある音が出たのでびっくりした。同ブランドの最下級モデルは前モデルを試聴だけしたことがあったのだけど(W10かUM-PRO 10のどっちだったかは忘れた)、普通に繊細な音がした覚えがあったので、今回はガラリと変えてきたんだなと思った。前回はサチュレーションが掛かったような軽い歪みが心地よい音だったけれど、今回はツヤツヤでパツンパツンな感じがする。もっと高価なモデルを使い分けている自分の感覚でも悪くない感じがした。
これは普段使いできるかもしれないと思い、さっそく通勤に使ってみたところ、なんかスカスカな感じがしたのでこれまたびっくりした。音の輪郭と言える倍音の成分はエネルギッシュなんだけど、主音の成分が弱いみたいで、街中の騒音によって音の芯が少し抜かれたようになってしまった。形状的に遮音性は高いはずなので、耳に届く騒音はそこまで大きくないはずなのだけど、そのわずかな音でバランスが崩れてしまったように思えた。
やはりバランスドアーマチュアドライバの音は単体ではそれほど広い周波数をカバーできないのかなあと思った。通常シングルドライバのモデルであればど真ん中とか人の声の周波数に合わせてチューニングするものだと思うんだけど、このモデルではエッジを強調することを選んだみたいだった。つまり屋内専用?イヤホンなのに。まあそういうイヤホンもあるんだけど、このモデルに関してはいかにも外で使えそうな形状だっただけに意外だった。
付属ケーブルがめっちゃ細かった。すぐ断線しそう。それに絡まりやすかった。音質的にも不利そうだし、実際上位モデルでは普通の太さのケーブルを使っている。なので交換してみたかったけれど、コネクタの形式がT2という新しいものだったので手持ちのケーブルがなくて無理だった。最近のスマホにはイヤホン端子がつかなくなってからそれなりに経つのだけど、Bluetooth接続用のケーブルもついていなかった。
屋内で聴くのであれば値段相応かそれ以上にいい音で鳴ってくれると思うのだけど、街中で聴くと不満のある音になってしまうので、このモデルを普通に勧めるのは難しいかなと思う。今回の自分みたいに安く手に入って、かつ屋内メインで使うのであればお得かもしれない。というわけで自分は部品どり用としてしまっておくことにした。W60のイヤーピースがちょうどヘタってきていたので入れ替えておいたw
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