ルリドラゴン 2巻まで |
高校一年生の女の子・青木瑠璃(ルリ)の頭に突如ツノが生えてきた。父親はドラゴンなのだと母親から聞かされ、くしゃみをした拍子に炎を吐いてしまうなど、徐々にドラゴンとしての片鱗を見せ始めるが、それをきっかけにいままで疎遠だったクラスメイトたちと交流するようになる。少年マンガ。
ネットのまとめサイトでたまに取り上げられたりしていたので気になっていた。いま考えるとステマのような気もするけど、女の子とドラゴンというキーワードにひかれて読んでみた。わりとおもしろかった。
いままで普通の女子高生として日々を疎んじて生きてきた平凡な女の子が、ドラゴンへの先祖返りをきっかけにクラスで注目され、興味津々でいろんなことを聞かれるのを少しうっとうしいと思いながらも、クラスメイトと交流していくうちに超常現象とは関係ないところで日々の生活に彩りがでてくるというハートウォーミングな話だった。
ヒロインの瑠璃はいろんなことがめんどうくさく感じる現代っ子なので、きっといまの読者には親近感のある存在なんだと思う。母親に対してもきっとめんどうくさく思っているんだろうけど、今回のことがきっかけで自分のことを案じてくれていることに気づいたり、息抜きに一緒に遊びにいって楽しんでいるのを見てあらたな一面に気づいたりする。
ドラゴンの能力は割と危険なんだけど、みんなからはまったく恐れられることがない。たぶん普通だったらそんなことはありえないと思う。そこがこの作品の面白味なので、ここにツッコミを入れるのは野暮なんじゃないだろうか。バトル展開なんかにはならない。
少し深読みすると、人間ちょっと変わったところがあっても別にかまわないじゃない?友達ってそういうものでしょ?みたいな。そういうやさしい世界を描いているんだと思う。
一方で瑠璃のことが嫌いだといってちょっと距離をとってくる女の子も出てくる。一緒に係だか委員をやっているので今度は瑠璃のほうから仲良くなろうとする。とてもいいエピソードだと思うんだけど、瑠璃の性格的にここまでやるかなと思った。
瑠璃のいつも困惑しているところがかわいい。あんまり笑わないのがいいと思う。ちょっとキバが生えているんだけど、多少目立つ八重歯ぐらい(?)なのでそこがまたかわいい。
以前まとめサイトで歯の描きこみにフェチを感じるとSNSで言った人がいて作者がわざわざ否定したという記事を見たんだけど、この人の絵の特徴として結構目立っていると思う。昼を食べながら会話してるシーンなんか見ても、ちゃんと食べ物を噛んで咀嚼しているところが描かれているぐらいだし。すごくいいと思う。
ただ、正直自分はそこまで瑠璃のことが好きになれなかった。たぶん瑠璃はこのまま生暖かい青春を過ごしていくんだろうなと思う。この手の青春ものとしては、谷川ニコ「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」のほうが自分にとっては圧倒的にスリリングでおもしろかった。10巻を超えたぐらいから流れが変わってくるので、アニメ化後に遠ざかっている人とかぜひ続きを読んでみてほしい。
とまあ自分にはちょっと物足りない作品ではあったし、ドラゴンのハーフだからといって特に無双したりバトル展開になったりはしないんだけど、普通の女の子が体当たりで青春していく作品が読みたい人にはハマると思うので、読んでみるといいと思う。
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