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雨宮さん 10話まで
新しい靴の匂いを嗅ぐとか将棋のコマを鳴らすなど、日常の中にあるちょっとした快感を求める女の子の雨宮さんが、祖父の住む離島に越してきて学校で同志を求めようとするが、風変わりな生徒たちに戸惑う。ギャグマンガ。

アニメ化もされた「日常」「CITY」の作者あらゐけいいちの新作。なんかよくしらないけど本作は動画が最初にあって、その後にマンガとしても描かれるようになったらしい。快感が得られるものの音や動きを伝えたかったからだろうか。匂いはさすがに無理だけど。

雨宮さんは田舎の学校に転入するんだけど、なんかよくわからないメデューサみたいな女子生徒がいたり、先生や生徒たちがヘンなルールに従って生きていたりと、のっけからギャグマンガ時空というか、あらゐけいいち時空が繰り広げられている。

この空気嫌いなんだよなあ。

普通の生徒にまじってなぜかゴルゴンがいて、それを周りは誰も不思議がっていなくて、時々うっかり石化させてしまうので、これまたなぜかいる金の針を作れる少年が石化を解くという日常が繰り広げられている。

こういうものをおもしろがれる感性が自分から失われてしまったんだろうか。いや、もとからなかった気がする。有名どころでは「不思議の国のアリス」なんかもそうだと思う。「誕生日じゃない日おめでとう!」とかクソしょうもない(!)。作品自体の身勝手さにふりまわされてる感がイヤなんだと思う。

たとえば同じ作者の作品「日常」にはロボット少女「なの」が出てくる。こいつは足の指にUSB端子があったりと、「はかせ」によってロボットらしいギミックが搭載されているんだけど、当の「なの」は普通の女の子でいたいのでヘンな改造をしないでくれとお願いする。いわば普通の健常な精神が宿っている。だからこの子に感情移入できるし、振り回される彼女をかわいいなあと思える。ついでに、足の指にUSB端子ということもちょっとおもしろがれる。

そんなわけのわからんことする「はかせ」だって、ロボットとかそういうものが大好きな普通のあどけない子供なので、ついつい無邪気に「なの」を改造してしまう。こんなに小さい子がすごい発明をする博士なんだという突飛な設定があっても、うんうんかわいいねえと見守ることができる。

やはりどこかに普通の感覚ってのが息づいていてほしい。読者が作品の世界へ入っていく入口なのだから。作者にとってこういう普通の感覚っていうのはなるべく排除したいものなんだろうか。

たとえばカフカ「変身」で、主人公グレゴール・ザムザが朝起きたら虫になっていたけど、何の疑問も抱かずそのまま生活していたらおもしろいだろうか?一緒に生活している家族も当たり前のように世話していたらどうだろうか?まあパロディとしてはおもしろいかもw

もう少し別の角度からも批判させてもらうと、笑いっていうのは落差から生じるもので、よく言われるのが緊張と緩和なんだけど、すごくヘンなものがあってもそれを作中誰もヘンと思わなかったらもはやそれはヘンではなくて、ふーんで終わってしまう。

まあそこは読者が普通の感覚を持っていれば、作中のヘンなものを見て普通の感覚との落差を感じるわけだけど、読者もいろいろな作品を読んでいるのでそこまで反応しなくなっている。だから、そういうとき基準となる普通の感覚を持った主人公や何者かの視点があればいいんだけど、雨宮さんも普通じゃないのでヘンなものを受け入れてしまっている。

まあだから「不思議の国のアリス」を日本の萌え文化で再構成したような作品として楽しむことができそうな人なら読んでみてもいいと思う。
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