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SHIORI EXPERIENCE ~ジミなわたしとヘンなおじさん~ 3巻まで
27歳独身の地味な女教師・本田紫織は、実家の多額な借金を返済するためにスポーツと吹奏楽部が盛んな私立高でつつましく働いていたが、なぜかエレキギターの神様ジミ・ヘンドリクスの霊に取り憑かれて吹奏楽部の演奏に乱入し、学校から目をつけられてしまう。一方28歳の誕生日までに伝説を創れないと死ぬと言われる。少年マンガ。

随分と巻数があって続いているバンドもの作品というので気になって読んでみた。あまり楽しめなかった。

まず題について言うと、ジミヘン(ジミ・ヘンドリクス)の組んだバンド名がJIMI HENDRIX EXPERIENCEだったみたいで、それをヒロインの名前に変えたのがこれらしい。なお作中でもその名前でバンドを組む。ジミヘンは死んだときの若者の姿のまま登場しているんだけど、黒人は老けてみえるから?おじさんということになっている。いや27歳でもおじさんって呼ばれることはなくもないか。

スポーツと文化活動が盛んな私立高校が舞台ということでアトラス「ペルソナ5」を思い出した。そっちは男性体育教師が学園に君臨していたけれど、こっちはサッカー部顧問の男子教師はイケメンの善玉っぽくて、吹奏楽部顧問の女の先生がブイブイ言わせてる感じ。やっぱり主人公が女性だと悪役も女性のほうがいいんだろうなあ。

こういう学校にはヒエラルキー(階層)があって、全国区で活躍しているサッカー部と吹奏楽部に属している教師や生徒が一番上で、所属する部の活動実績だとか多分学力とかで序列がつけられているんだと思う。野球部もそれなりに活動しているのだけどサッカー部とは差をつけられている。

ヒロインが本当に地味な女教師だった。黒縁メガネを掛けていて、ファッションもダサいスーツを着ている。一周回ってかわいいということもなかった(好みにもよるか)。あんまりかわいいと話が変わってきちゃうし、かといってブスというわけでもなくて、こういう物語の主人公キャラとして絶妙だと思う。

ミュージシャンだった兄が大きな借金を作っていなくなったので父親とともにその借金を返し続けている。おかげで父親は大の音楽嫌いになってしまい、彼女は好きなギターも家で弾けなかった。まあスタジオとかカラオケ屋とかに行けばいいんだけどw

あるとき兄のことを思い出しながら自分の部屋のタンスをあけたら、その中でジミヘンが無表情で座ってタバコを吸っていた(!)。彼は霊なので彼女以外の人には見えないほか、憑依することで体を乗っ取ることができた。以来、彼女はジミヘンの霊に付きまとわれ、ギターを弾きたいので体を使わせてくれと言ってくる。彼女はなにげに英語教師なので彼とも普通に会話できる。

学校のイベントで吹奏楽部のステージが始まるときにジミヘンが彼女の体を強引に乗っ取ってしまい、エレキギターを持ってステージに乱入してすごい演奏をしてしまう。自分がやりたかったことはなんだと問われ、バンドを組んでライブがしたかったという。

要するにこの作品は二十代後半の夢を追うことをあきらめて日々の生活に追われる女性の物語だった。そこへ様々な問題を抱えた生徒たちも合流して多重な物語を紡ぎあげていく感じ?

いい話だとは思ったんだけど、なんか共感できなかった。学生の頃に一緒にバンドを組んでいた仲間たちがいい母親になっていてまたバンドやろうと言い出せなかったところとかすごくじんわりきたんだけど。

彼女はただステージでバンドをやりたかっただけなのに(?)、一年以内に伝説を残さないと死ぬと言われる。とりあえず自分が読んだところまでだと彼女の気持ちと筋書きとのズレを感じた。これだったら自分の音楽でみんなを感動させたい!ぐらいに思ってないとおかしいと思うんだけど、そういうつもりもないみたいだった。というかそもそも彼女がバンドをやりたいという気持ちもフワッとしていて共感できなかった。

軽音楽部を作って生徒たちを集めようとする中で、せっかく確保した粗末な部室が荒されてしまい、容疑者として上がってきた不良女のことを調べることから始まったエピソードが、すごく盛り上がってる感じに描かれていたのにぜんぜん自分の気持ちが盛り上がらなかったので、こりゃ合わんなと思って読むのをやめた。

自分はジミヘンを通っていないので多分いろいろと見落としていると思う。図書館でCDを借りて聞いたことはあったんだけどピンとこなかった。自分はリッチー・ブラックモアがギリで、レッド・ツェッペリンも好みじゃなかったのでジミー・ペイジも通らなかった。たぶんジミヘンはちょっとしたオマージュくらいにしか使われてないと思うんだけど。

3巻の終わりで、やはり27歳で自殺したカート・コバーンの霊が出てくる。大ヒットしたSmells Like Teen Spiritはとてもいい曲だと思うけど、それ以外はよく知らない。Wikipediaを見てみたら他にジャニス・ジョプリンやブライアン・ジョーンズ、ジム・モリソンなんかも出てくるらしい。彼らの抱えていた問題が現代の登場人物に重ね合わされるのかもしれないけど、少なくともヒロインがジミヘンと重なる部分はなさそうだった。

絵は普通の少年マンガって感じ?完成された絵だけどそれほど魅力を感じなかった。ただ、ジミヘンが表情豊かで、ギャグ顔でフヌけた感じのときもあればキリッとかっこいいときもあり、振り幅がすごくてとてもよかった。黒人の読者がどう思うか知りたい。また、取りついてもいいよとジミヘンに言うときの先生の赤らめた顔があざとかわいかった。一方ですばる先生の憎らしげな表情など誇張された感じのコミカルさがちょっと型通りすぎてうんざりした。

所々にいいところは感じたけれど、全体としてみるとなんというか普通に人に勧めたくない作品だった。
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