あずみ |
戦国時代の終わりに、もう二度と戦乱を起こさせるまいと、孤児を育て独自の信念とやりかたで有力者の暗殺を謀る「じい」に拾われ、暗殺者として育てられた少女あずみの物語。
散々こき下ろされた典型的なアイドル映画の本作。私も見て納得した。似たような評を書いてもしょうがないので、一応肯定的な面も書いてみようと思う。
まず上戸彩がいい。これまた週刊誌では旬が過ぎたアイドルと酷評されてきた上戸彩だが、ショートカットにまとまりのある引き締まった顔はとても魅力的だ。男ならくノ一(女忍者)に惹かれるもの。それは水戸黄門のかげろうお銀から延々と引き継がれてきた文化かもしれない。酷評した週刊文春も、本作のことを上戸彩の肢体だけの映画と言っているぐらいだ。
ちょっとストーリーも紹介してみよう。さきほどくノ一と書いたが、あずみはどうやら忍者ではないようだ。てっきり忍者モノかと思った。じいが何者なのか知らない。忍びの者と対決するシーンのときに、大したことないなと言うような箇所があった。二刀流の構えはまるで忍者なのに一体何者なのだろう。
マンガの原作本の表紙を見ると、主人公あずみが織田信長の愛用していたようなマントを羽織っているのが目立つ。その理由がやっと分かった。あずみの親友となった旅芸人一座の女の子が羽織っていたものだからだった。原作もそうなのかは知らない。
うーん。これ以上は批判的なことも書かないと持たないなぁ。
導入部からまず引いた。最初の部分だから多少筋を言ってもさしつかえなかろう。じいに育てられた孤児たちが稽古をしながら和気あいあいとしているシーンがまずある。ついにじいが行動を起こすということになり、孤児同士で組にさせる。仲のいい者同士が組む。ところがじいは、組になった二人に殺し合いをさせて生き残ったほうを連れて行くというのだ。いかにじいに拾われた孤児たちとはいえ、仲間を殺す選択なんて普通しないんじゃないかと思うのは、現代に生きる我々の凝り固まった考えなのだろうか。てっきり私は、じいがじい自身を殺させて暗殺者としての覚悟を植えつけるものかと思って見ていた。じい命の意志はラストまで引っ張られる。
じいやあずみたちは、野良の体制派ってことになる。徳川陣営でもないのに(たぶん)、豊臣残党の武将たちを暗殺していっている。なんだかいかにも活動家という感じがして、幼稚に思えてならない。高校生が書いた筋書きのような感じがする。
血しぶきが多すぎる。かなり残虐な表現。これって喜ぶ人がいるんだろうか。私はそんなに抵抗はないほうなのだが、ちょっと嫌な感じがした。ダメな人はダメだと思う。
あのオカマの剣士をどうにかしてほしい。現代風のオカマ言葉を使う剣士がこの作品のダメさ加減にトドメをさしてしまっている。
細かいことを言うと、加藤清正役に竹中直人を起用するのもどんなもんだろう。すっかり秀吉のイメージがついている人が圧倒的だと思うのだが…。
驚くべきことに、この映画の二作目があるのだそうな。つまりそれが意味するところ一作目の評判が良かったということになる。
割とマンガ通な知人が原作を面白いと言っていたので、元の作品は良い出来なのだと思うのだが、この映画からはそれがうかがい知ることが出来なかった。
と散々こき下ろしておいてこういうのもなんだけど、この手のアイドル映画が作られるのもある意味日本映画界が復興していっている証拠だと思うので、このまま続けていって欲しい。私は見ないけど、見るひとはいるのだから。
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