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ハチミツとクローバー 1〜7、8巻
美大生たちの青春の物語。二つの三角関係が中心となっているほか、花本先生たちの世代の三人組、真山の就職先のデザイン事務所の人々、と物語は広がっていく。

こんなに壮大な物語を余裕たっぷりに見せてくれる作品にはめったにお目にかかれない。描かれているのは日常で、単にとりとめがないだけなのかもしれないが、話が小さくまとまらずにリアルに広がっていく。私はこの手の作品に弱い。素晴らしい作品だと思う。

最初は汚い寮に住む男の主要人物や脇役が語られる。次に花本先生の姪の、はぐみという子供に見まごうほどの新入生が中心に描かれる。通称はぐちゃんに、変人の森田と純真な竹本が惚れる。眼鏡茶髪の真山は、花本先生の世代の理花さんが好きだが、理花は事故で死んだ原田が忘れられずに避けてしまう。そんな真山にあゆは振られても諦めきれない。

ただやはり気になるのは、一つ一つのエピソードにちゃんと結末をつけることが出来るのだろうかという点だ。7巻まで読んで振り返ってみると、何も結末がついていないことに驚かされる。最後の最後までずっとこのままで、その後のことはぼかされたまま終わるのか、一気に結末がついて終わるのか、それはそれで楽しみなのだが、作者が逃げているようにも思えてしまう。読者もまあ結末を望んでいないというか、いつまでも彼らの青春があることを願っているので、共犯でもあるだろう。

8巻まできてようやく結末がつきそうになってきてはいるが、まだはっきりと決着するところまではきていない。一つだけでなく二つ三つ一気に片付きそうで、それどころか一気に全部片付けて物語が終わってしまう恐れを抱いてしまう。何かが決着してもダラダラ続けて欲しいなと思う。

作者が自分たちのことをオタクだと言っているのも面白い。もはやこのようなカミングアウトは珍しいものではなくなったが、ネームに「花本先生のMS」と作者が書いて、あとになってアシスタントに「MSはマンションの略ね」と言うとアシスタントたちが「あぶねー。モビルスーツ描くとこだった。ふぅー」とこぼすのには吹いた。
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