Final Fantasy VII Advent Children |
スクウェアのファイナルファンタジー7の世界で二年後、孤児たちと共に暮らして配達屋をしているクラウドとティファのもとに、カダージュと名乗る少年たちが現れ、子供たちをかどかわそうとする。
と簡単にストーリーを解説しようとしてみたが、はっきりいって訳が分からなくて説明のしようがない。なにやらテーマは、人は孤独じゃないんだ、ということらしいのだが、うーん。ゲームの長い長いデモを見せられた感じ。
見るとまずその映像に驚かされる。美しい。もはや現実世界より美しい。人も、景色も。クラウドはかっこいいし、ティファはかわいい。なんか日本の有名なタレントのパーツをいいとこどりしたような感じ。質感も素晴らしい。あの手裏剣投げる少女、なんていうんだっけ、鈴木あみっぽいような、…かわいいね。
ヴィンセント、エアリス、あと色々、ファイナルファンタジー7の登場人物たちが出てきてなつかしい。新キャラの悪役たちもハマってる。
人の動きにまだちょっと不自然さが残っているが、気になるのは一人や二人の動きがクローズアップされる時だけで、大量の人々の雑踏とか、数人の自然に調和しあった動きはもうほぼ完璧だと思う。
物理的な動きは、なんか重力加速度がおかしい気がするのだが、これは演出でやっているのだろうか。だってこんなの計算でやればいくらでも正確になるはずなのに。あ、一つ一つ手でやってるのかな。私が知る限り今のところ手でやる派も強いらしい。
音楽もファイナルファンタジー7のをアレンジして使っている。聞き覚えのある曲に懐かしくなる。ティファが戦うシーンは、戦闘の曲をピアノアレンジしていて特にクールだった。あとあの印象的なエンディングっぽい曲。ほかにも色々使われていたのかもしれないけど忘れた。ヘヴィメタ風の曲も結構あった。インスト系だけど。
さて本作を論ずるなら、スクウェアを傾かせたというハリウッドと作った前作と比較する必要があるだろう。前作は明らかにメジャー狙いだった。ファイナルファンタジーシリーズの精神性だけ引き継いで、残りはいわゆる王道のハリウッド映画をフルCGでやった野心作ではあった。しかし完全な失敗に終わってしまった。おそらく制作側は、自分たちの作品と一方で大ヒットしたアルマゲドンとはどこが違うのかと考えただろうが、メジャー狙いで大ヒットさせるには色々な側面で無理があった。
スクウェアはもう二度と映画は作らないかと私には思われたが、こんな形でもう一度作ってきたことは喜ばしい。まずもうメジャー受けは狙わず、既存のファンに訴えかける内容にしたのは一番大事な判断だったと思う。
ほぼ七割八割をアクションで埋めたのは、私にとっては気に食わないことだが、多分一般的な成功要素になっていると思う。バイクによるチェイスシーン、市街地での竜との戦い、剣と剣と銃による接近戦、ティファの格闘。分かりやすいことこの上ない。特にアメリカ人が喜びそう。
この作品は、アキラと攻殻機動隊の次をはっきり狙ったものだろう。私はこの作品がいわゆる金字塔になってほしいと願う。数年後のクリエイターたちが想い出として尊敬と共に語り合う作品になって欲しいと思う。かように私は期待で一杯なので冷静な判断は出来ていないと思う。だから、そうはならないんだろうなという漠然とした不安だけを感じつつ、これ以上の冷静な分析はやめておこうと思う。
あと思ったのは、将来こういうCG映画が個人で作れるようになるんじゃないかってことだった。いま作ったら相当な金が掛かるのだが、コンピュータの性能が飛躍的に上がればどうなるか。CGはすごいけど、基本はモデリングとライティングとアングルだ。市街地を構成するモデルデータがフリーまたは有料で出回り簡単に入手でき、人物データもアマチュアが腕を競い合うとか、モーションなんかも一般化され形式が定まり広く出回るようになるかもしれない。デジタルなデータは画一で気持ち悪いというイメージがあるが、カオスで微妙に違うものを再作成することがいとも簡単に出来るようになったりとか。
最後にもう一度苦言を呈するが、小説家でも漫画家でも一人、原作者を呼んでくるということをなぜしないのだろうか。せっかく素晴らしい映像と音楽をちりばめても、語る内容がこれではもったいなさすぎる。ほとんど動きの無い映像ながら原作と脚本で魅せた「マリア様がみてる」のような作品を最近見た私からすると、本当に本当に残念なことだと思う。
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