リビングデッド |
近年のゾンビ映画。
語り尽くされた感のあるモチーフに果敢に取り組んでいる。
だが、残念な作品だった。
アプローチ自体はかなり斬新だった。
主人公と恋人がゾンビになってしまい、
いかにして生きるか、、ということを語っていた。
ふとしたことで生ける屍に噛まれてしまった主人公。
数日後、鼓動が止まっているのに生きている自分がいる。
徐々に自分の肉体が腐り崩れはじめる。
ある日、そばで看病してくれている恋人を噛んでしまう。
カップルそろってゾンビになってしまいましたとさ。
やがて、主人公達はある衝動に駆られるようになる。
「人肉を食いたい」。
人間としての尊厳と、欲求の葛藤を描いていた。
だが、残念かな、、うすっぺらかった。
そもそも設定にムリがあったと思う。
「ゾンビ」という存在を、死に至るまでの通過点にしてしまっていた。
人肉を食わねば死んでしまうという。
誰かを犠牲にすることによって成立する自分の存在・・・。
そこに葛藤を覚えるのは当然のことであるし、
死を迎え入れるのも、誰かを犠牲にして生き残るのも、
どちらが正しいとかのジャッジを下せる人間はいないだろう。
思いっきり無責任な命題を垂れ流すことになってしまうのだ。
作者なりのハッキリした主張があればよかったのだが、
どっちが正しいんだろうね?という問いかけで終わってしまった感がある。
そんなもん、だれもわかんねーというハナシだ。
当たり前のことをヌケヌケと言われて、
で?と問い返したくなった。
もうちょっと細かいハナシだったら自分なりの答えをみつけて
めでたしめでたし・・・となるのだが・・・。
根源的なことを無責任に問いすぎだろ!って思った。
きっと作者自身には答えがあるんだろうな。。
この映画は、作者が自分世界に陶酔した成果物のような・・・そんな印象だ。
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