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スマリの森
アルビノ(生まれつき色素がなく全身毛が白い個体)のキタキツネ・スマリと、弟分の三匹のキタキツネ、その他の動物の仲間たちがおくる、ほのぼのとした中にちょっとした笑いと涙のある日常を描いた作品。

絵がかなり下手だが卓越したギャグセンスとホロリで知られる少女漫画家・遠藤淑子の比較的新しい作品の一つ。この人の描くギャグは、良く言えばストレート、悪く言えば安直、ギャグマンガの黄金時代で勝負してもやっていけたと思うほどで、私の好きな少女漫画家の一人。

この作品は、私の知る限り似たような作品を思い浮かべるとしたら、いがらしみきお「ぼのぼの」あたりになるんじゃないかと思う。毛色は違うものの、笑って、ちょっと泣けて、考えさせられるところは似ていると思う。どっちもギャグセンスは天才的だと思うが、ぼのぼのはシュールなところがあるのに対して、こちらはギャグがストレートで分かりやすい。

主に三匹のキタキツネと丹頂鶴やフクロウなどとの掛け合いが面白い。キタキツネ兄弟のテンポのいい三匹連続の無邪気な台詞に口元が緩む。コミカルという言葉がまさに当てはまる古典的で王道を行く笑いがある。そしていつのまにかしっとりした流れになる。この人の作品ならではの空気だ。

うーん、でもなにか物足りない。作品自体はいい雰囲気で丁寧に描かれているのだが、一話一話が完結する連作短編形式で、大きな展開はなく小さなエピソードが次々と語られていくだけ。胸のすくような結末もなく、登場人物が何か納得して終わる。目新しい話は少なく、どこかで聞いたことのある感じの話が多い。ギャグも控え目だし。

この手の作品は、がっついて読むのではなく、なんとなく手にとってのんびりと読むのがいいのだろう。だから積極的には勧めないが、ブックオフで見つけたら買い置いてみると良いと思う。
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