Time to Destination |
女性ヴォーカルに男二人がそれぞれキーボードとギターを弾く三人組だったEvery Little Thingsが大ブレイクしたきっかけとなった二枚目のアルバム。
女性らしさを保ったまま力強い声が魅力の持田香織と、当時も今も珍しい正統派早弾きギタリスト伊藤一朗、そしてシンセサイザーを駆使したキャッチーな曲を書き続けたキーボードにしてリーダーの五十嵐充の組み合わせは私にとって最高だった。
なかでもこのアルバムは私の中では最高傑作だ。女性ヴォーカルものでベストを一人挙げるなら広瀬香美(作詞はともかく歌と作編曲のレベルがずば抜けている)だが、一人で出来ることにはどうしても限界がある。Every Little Thingはメンバーの個性が互いに損なわれずうまいぐあいに協調している。正直私にとってはもっとギターに前に出てきて欲しいのだけど、大多数の人にとってはこのぐらいのバランスが良いのだと思う。
どのへんがいいか。ヴォーカルが力強いと既に書いたが、メロディの乗る伴奏が力強くてドッシリしている。チャラチャラしていない。メロディがキャッチーでしかも独特の味がある。ギターがなにげにすごい。このくらい速いフレーズの演奏が出来るギターの人って日本のメジャーにはあんまりいないと思う。Shapes of Loveの前奏なんかにサラリと早弾きが仕込まれているのにギターが目立ちすぎていない。
現時点で七枚のアルバムが出ていて私は全部持っている…と思ったら6枚目を持っていなかった。1,2,3はロックっぽい力強いサウンド。4でやや風味が変わってパンチが薄れるが独特の味はそのまま。5はCCCDになったので買い控えていたが最近中古で手に入れてたまに聞くもののそんなに良いと思えず。6は聴いたことがなく、7で普通のCDに戻ったのでこれは新品で入手したものの以前の輝きは無し。
4枚目の前にキーボードの五十嵐充という人が抜けたらしい。ヴォーカルとギターの二人組になったのだからギターがもっと前面に出て力強くなるかと思いきやそうはならなかった。このあたりの事情は音楽雑誌や情報サイトを見ればよく分かるのかもしれないが、私は読んでいないので憶測を書くと、キーボードの人がいたときはその分ギターが多少前に出てもバランスが良かったのだろうが、キーボードが弱くなったことでギターも抑え目にせざるをえなかったんじゃないだろうか。
この間、ヴォーカルの持田香織の歌はほとんどレベル変わらず。これはこれですごい。ちゃんと外部から曲を調達してきて、まあ大体ELTだなと納得できるレベルを保っている。でも4枚目以降はおとなしいんだよなあ。曲の展開が平坦になってメリハリがなくなってしまった。結局五十嵐充あってのELTだったと言わざるをえない。4枚目も割と好きなんだけど。
ウィキペディアに載っていたオリコン売上を見てショックを受けた。今回特に取り上げた2枚目が累計352万枚と断トツなのは当然として、1stが192.2万枚でそれに次ぎ、3と4がミリオン手前、5thで50万ちょっと、6thで30万ちょっと、7thで20万ちょっと。もう消えていく人たちになってしまっている。まだ元気のいいB'zと違って、彼らはベテランとしては活躍できないんだなあと思うと寂しくなる。
まだ持田の声と伊藤一郎のギターはそれほど衰えを感じさせないので、たとえばアイドルの音楽デビューをバックアップするような腕のいい音楽家が立て直してくれないものだろうか。
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